この記事では
「グリーンエコノミー」
という言葉の意味や、グリーンエコノミーに注目が集まっている背景・理由について説明します。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)で社会が変わりつつあるように、これから
「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」
が徐々に社会を変える可能性があります。
なので、グリーンエコノミーが何かを知っておいて損をすることは無いと思います。
グリーンエコノミー(グリーン経済)の意味
グリーンエコノミーは英語だと
「Green Economy(直訳すると「緑の経済」)」
という表現になります。
そのままと言えばそのままですね。
この言葉が使われるきかっけになったのは、2011年に国連の関連組織である国連環境計画(UNEP)が発表した
「グリーン経済をめざして」[1]国連環境計画:グリーン経済をめざして:持続可能な発展と貧困の撲滅への道筋-政策立案者のための統合的方策
という報告書です。
この報告書の中で、国連環境計画はグリーン経済を
「環境問題に伴うリスクと生態系の損失を軽減しながら、人間の生活の質を改善し社会の不平等を解消するための経済のあり方」
このように定義しています。
国連環境計画の定義がわかりづらいと感じた方は、城西国際大学の福田順子教授による
持続可能な発展を実現するために必要な、環境に優しい経済
こっちの表現の方がわかりやすいかもしれません。
ただ、グリーン経済は経済だけでなく環境に配慮されたモノ・サービス・行動などを意味することもあります。
なのでグリーン経済には
「環境に優しい経済や社会的な活動のこと」
というかなり幅広い意味があるのです。
そして、正反対の言葉としてはブラウンエコノミー(茶色の経済)があります。
なぜグリーンエコノミーが注目されているのか?
新型コロナが流行してから、先進国の経済政策では「グリーン」がキーワードになっています。
たとえば
などですね。
日本やイギリスのような先進国でグリーンを重要視した経済政策が計画されるのは、世界的な
「脱炭素」
の流れに乗るためです。
具体的には二酸化炭素の排出量を減らし(脱炭素)、環境への負荷を減らそう、ということですね。
では、なぜ脱炭素のようなグリーンを意識した経済活動が重要視されているのでしょうか?
企業活動の視点から、その背景を説明します。
ESGを重視する投資家や金融機関の存在
「グリーン」や「SDGs(持続可能な開発目標)」などの言葉と関連性がたかい言葉に
「ESG(イーエスジー)」
があります。
ESGとは
- Environment→環境
- Social→社会
- Governance→ガバナンス
この3文字の略称で、おもに企業活動にたいして使われる言葉です。
企業に投資する投資家や、企業にお金を貸す金融機関はさいきんになって企業のESGへの取り組みを判断材料にしています。
簡単に言えば企業がサステナブル、つまり持続可能かどうかを意識した活動をしていないと
「ESGを考慮して経営されていない」
と判断されます。
その結果、投資家や金融機関から
- 投資してもらえない
- 融資してもらえない
このような事が増えているのです。
これは企業にとって死活問題です。
だから、とくに大企業はグリーンエコノミーを意識した活動をしなければならない状況になりつつあるのです。
脱炭素が大企業と取引するための条件になる
ひと昔前であれば脱炭素を目的とした取り組み、たとえば
- プラスチックではなく環境に優しい素材を使う
- 石炭や石油ではなく再生可能エネルギーを使う
などの取り組みは余計なお金がかかる、非経済的で非効率的な取り組みだと考えられていました。
しかし、いまは違います。
社会を構成する人々(とくに若い世代)の意識が変わっています。
大量の二酸化炭素を排出する企業に対しての消費者からの見る目も厳しくなりました。
世界一の時価総額[2]2021年6月時点の時価総額のランキングから判断しました。を誇るあのAppleは、すでに自社ではカーボンニュートラルを達成しています。
それだけでなく、アップルは取引先にも2030年までにカーボンニュートラル達成を求めるようになりました[3]Apple:Apple、2030年までにサプライチェーンの 100%カーボンニュートラル達成を約束。
Appleのような大企業がこのような方針を打ち出したら、取引先の中小企業はその方針に従うしかありません。
このような、経済活動の頂点にいる企業たちの行動により、グリーンエコノミーは活発化しているのです。
脱炭素には雇用を増やすなどの経済効果がある
意外かもしれませんが、脱炭素などの「グリーンな経済」を目標にした取り組みは経済効果がある、と言われています。
日本政府は「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で
この戦略により、2030年で約140兆円、2050年に約290兆円の経済効果が見込まれる。
また、2030年で約870万人、2050年で約1,800万人の雇用効果が見込まれる。
このように述べています。
国際労働機関(ILO)による、以下のような予測もあります。
グリーン経済を促進する適切な政策が実行されたら、2030年までに世界で2400万人の新しい雇用が生まれる
世界経済フォーラムによる
「仕事の未来レポート2020[4]World Economic Forum:The Future of Jobs Report 2020」
でも、2025年までに
- AI開発やデータ分析などデジタル系の仕事
- 医師や看護師などのエッセンシャルワーカー
などと並び「グリーンエコノミーの仕事も増える」と予測されています。
ようはグリーンエコノミーは
- 経済の成長
- 環境への優しさ
このふたつを両立できる取り組みである、と今のところ考えられているのですね。
だから、各国の政府がこぞってグリーンエコノミーに積極的なのです。
どんな仕事・職業がグリーンエコノミーに該当するか?
ここまで
- グリーンエコノミーとはどんな意味なのか
- なぜグリーンエコノミーが注目されているのか
などについて説明してきました。
最後に、グリーンエコノミーに携わる職業を紹介します。
ナショナルジオグラフィックという有名な雑誌がありますが、ナショナルジオグラフィックがWEBサイトで
「急成長している11種類のグリーン・ジョブ」
というタイトルで、需要が増えているグリーンエコノミーに関わる職業をピックアップしています。
ナショナルジオグラフィックの記事では
などの仕事が紹介されています。
もしこれらの職業に興味がある方は検索エンジン等で詳細を調べてください。
仕事ではDXと同時にGX(グリーンとランスフォーメーション)が進行する
2010年代後半になると
DX(デジタル・トランスフォーメーション)
という言葉が注目されるようになりました。
DXが進行すると、社会はどんどんデジタル化されます。
もしグリーンエコノミーが注目されるようになったら、社会はどう変化するでしょうか。
DXと同じように
GX(グリーントランスフォーメーション)
という言葉が普及し、社会がどんどんグリーン化するかもしれません。
GXが普及したら、仕事においてもGX化を進める必要が出てきます。
そうなったら、グリーンに関わる知識を持っている人材の需要はとても高くなるでしょう。
DXについての知識も大事ですが、あわせてGXの知識もあると活躍の場が大きく広がるかもしれませんね。
引用・脚注
↑1 | 国連環境計画:グリーン経済をめざして:持続可能な発展と貧困の撲滅への道筋-政策立案者のための統合的方策 |
---|---|
↑2 | 2021年6月時点の時価総額のランキングから判断しました。 |
↑3 | Apple:Apple、2030年までにサプライチェーンの 100%カーボンニュートラル達成を約束 |
↑4 | World Economic Forum:The Future of Jobs Report 2020 |
コメント