この記事では「アウトスキリング」の
- 言葉の意味や概要
- アウトスキリングが注目されている理由
- 企業や従業員にとってのメリット
などを説明します。
日本でアウトスキリングが行われるのはとうぶん先になりそうですが、今のうちからチェックしておきましょう。
アウトスキリングとは?
まずは「アウトスキリング」の概要を説明します。
アウトスキリングは欧米でもかなり新しい、画期的な取り組みです。
2021年現在、アウトスキリングに取り組んでいる日本企業は聞いたことがありません。
なので、まずはざっくりとした内容から理解しましょう。
とても簡単に言うと、アウトスキリングとは
「企業が従業員に対して用意・実施する教育・転職支援プログラム」
です。
教育・転職支援プログラムはどんな中身?
一言で
「教育・転職支援プログラム」
と言ってもいろいろな意味があります。
ただアウトスキリングの場合、教育に関しては
- いま成長している産業で役立つスキル
- 社会での需要が高いスキル
など、身につければ転職に成功しやすいスキルを学ぶことがほとんどです。
そしてアウトスキリングを実施する企業は、従業員にただスキルを身につけさせるだけでなく
なども行ってくれます。
アウトスキリングの対象になる人はどんな人?
教育・転職支援プログラムの内容を見ると、とても充実しているように感じると思います。
ですが、アウトスキリングはすべての従業員に対して実施される訳ではありません。
アウトスキリングの対象になるのは
「近い将来会社からいなくなる確率が高い人」
です。
より詳しく言うと、アウトスキリングの対象になるのは
- 整理解雇の対象になっている人
- これから整理解雇の対象になりそうな人
などに該当する人です。
言い換えると
「リストラの対象になっている人」
もしくは
「これからリストラされそうな人」
ということですね。
なぜアウトスキリングが注目されているのか?
リストラ対象者や、リストラされそうな人に、なぜ企業がこんなに手厚いサポートをするのでしょうか?
すこし不思議ですよね。
でも、これには理由があります。
なぜなら、企業が手厚いサポートをすることには
- リストラ対象者・リストラされそうな人
- リストラを実施する企業
この両方にメリットがあるからです。
ここでは最初に一般的なリストラのデメリットを説明します。
そして、そのあとにアウトスキリングのメリットを説明します。
普通のリストラは会社にもリストラされる人にもデメリットだらけ
私たちが暮らしている世界はつねに変化しています。
だから、変化に対応できない企業は業績が悪化したり、倒産したりします。
企業は変化に対応する方法として「リストラ」、つまり会社の構造を変えることを選択することがあります。
リストラはある意味仕方のないことです。
すべての人が変化に対応できる訳ではありません。
同じように、すべての企業が変化に対応できる訳ではありません。
よって、企業が変化に対応するため、リストラによる構造変化を選ぶのは普通のことです。
けどリストラによって、幸せになれる人はあまりいません。
リストラには、する側・される側の両方にとってデメリットが多すぎるのです。
リストラされる側(従業員)のデメリット
まずは、リストラされる側のデメリットを紹介します。
まじめに働く人にとって、リストラはとても辛い出来事です。
ただ仕事を失うだけでも十分に辛いのですが
- 精神的なダメージがリストラ後も残る
- リストラ後の再就職に失敗することもある
- 再就職に成功しても給料が下がる可能性が高い
などのデメリットがあります。
つまり、精神的に辛いだけでなく、金銭的にもしんどい状況になってしまうことがあるのです。
リストラする側(会社)のデメリット
つぎは会社、つまりリストラする側にとってのデメリットです。
意外かもしれませんが、リストラは会社にとってもデメリットが大きいのです。
リストラによるデメリットはたくさんあるので、ざっと挙げます。
- 会社や製品・サービスのブランドイメージが低下する
- リストラ後は優秀な人材を採用するのが難しくなる
- リストラされずに残った従業員のモチベーションが下がる
- 会社の本社がある地域や、多くの雇用を生んでいる場所での評判が下がる
- リストラした元社員との関係性が悪化し、恨みを買ったり風評被害などに遭う可能性が高くなる
ここで挙げた項目以外にもたくさんあるのですが、リストラは結局のところ会社にとってもしんどいのです。
業績回復のためにリストラするのですが、こんなにデメリットがあってはリストラ後の業績回復も難しくなってしまいます。
これではなんのためにリストラのするのかわかりません。
アウトスキリングのメリット
説明したように、リストラはする側・される側の両方に多くのデメリットがあります。
これがアウトスキリングになると、どのように変化するのでしょうか。
ふつうのリストラと比べたときの、アウトスキリングのメリットを
- 従業員側
- 会社側
に分けて紹介します。
会社がアウトスキリングを実施するメリット
この記事の前半で説明したように、アウトスキリングでは企業はリストラする従業員にたいして
などを実施します。
これらを実施すると、従業員ひとりあたり数十万円以上の費用がかかる恐れがあります。
では、これだけの費用を使うメリットは何なのでしょうか。
おそらく、企業がアウトスキリングをする最大のメリットは
「リストラする従業員にも優しい会社」として評判を維持・向上できる
これだと思います。
アウトスキリングにより
などからの評判や印象を高いままで維持できる可能性があるのです。
もしアウトスキリングがSNSなどで話題になれば、リストラしているのに
「良い会社だ」
という風な評判が立つかもしれません。
これは、普通のリストラではありえない話です。
他にも、アウトスキリングでスキルを学んでいる間は社員が高いモチベーションで働いてくれる、などのメリットも期待できます。
働く人にとってのアウトスキリングのメリット
つぎは、アウトスキリングの対象になった人のメリットです。
通常のリストラなどと比べると、アウトスキリングにはどんなメリットがあるのでしょうか。
まず、わかりやすいメリットはお金です。
アウトスキリングなら、会社のお金で将来性の高いスキルを学ぶことができます。
つまり、無料(ただ)で高度で専門的なスキルを身につけられるのです。
アウトスキリングで学ぶのは、成長産業への就職・転職に成功しやすいスキルであることが多いです。
いまだと、たとえば
などですね。
これらのスキルを独学で学ぶのは大変ですし、もしスクールで学ぼうとすると数十万円の費用がかかることもあります。
これらがすべて無料になるのはとてもありがたいですよね。
次のメリットは時間です。
アウトスキリングでスキルを学んでいるとき、その人はまだ会社の従業員です。
ただ新しいスキルを学ぶだけでなく仕事もしているので、とうぜん給料も受け取れます。
それだけでなく、仕事とスキル学習と平行しながら就職活動や就職活動の準備ができます。
つまり退職のタイミングまで、気持ちを整理したり、次の仕事の準備をする時間をもらえるのです。
これはかなり大きなメリットです。
整理すると、アウトスキリングには
- 無料で将来性の高いスキルを学べる
- 退職まで時間的な猶予期間をもらえる
というメリットがあります。
なので、普通のリストラよりもはるかに良い地点から社会人人生のリスタートができるのです。
アウトスキリングを提案されたらどうしたらいいか?
最後に、もし働いている会社からアウトスキリングを提案されたらどうしたらいいか、おすすめの方法を紹介します。
日本でアウトスキリングを実施する企業があらわれるかどうかも怪しいので、シンプルに箇条書きで紹介します。
このような流れが良いと思います。
アウトスキリングはリスキリングのチャンス
ここまで、アウトスキリングについて説明してきました。
紹介したように、アウトスキリングはリストラと比較したらたくさんのメリットがある仕組みです。
それに、人生100年時代のいま、新しいスキルを学ぶこと、つまりリスキリングは仕事をする上で欠かせません。
日本も数年後は何回もリスキリングを繰り返すのが普通になることだってありえます。
もしアウトスキリングを提案されたら、リスキリングのチャンスだと捉えて積極的に活用してください。
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