いまは人生100年時代です。
仕事の定年が60歳だと仮定します。
もし100歳まで生きたら、大学に通った人は仕事をしていた期間よりも定年後の期間の方が長い計算になります。
そんな長すぎる老後を、年金収入だけで暮らしていくのは普通は困難です。
なので定年後も仕事をしたい人は多いのですが、定年後の仕事としていま人気の仕事はこれからも存在するのでしょうか。
テクノロジー、つまり
- AI(人工知能)
- ロボット
などによって仕事を奪われる心配は無いのでしょうか。
この記事では、まず定年後のシニアに人気のある仕事を紹介します。
そして、それらの仕事がどれくらい自動化リスク、つまり仕事が消滅するリスクがあるかを調査やレポートなどを使って紹介します。
数年後に定年を迎え、これから仕事をどうするか迷っている方は是非チェックしてください。
定年後のシニアのあいだで人気のあるのはどんな仕事?
まずはじめに、いまシニアの間ではどんな仕事が人気なのかをチェックしましょう。
今回はシニアの仕事や転職情報を掲載している
などの信頼性の高いサイトで、どんな仕事がシニアの間で人気かをチェックしました。
そして、わかったのは男女ともに
などの仕事が人気ある、ということです。
つまり、これらの仕事が定年後のシニアにとっての「定番」の仕事なのです。
女性だと、厨房やキッチンで調理する仕事、さらには福祉や介護系の仕事が人気でした。
シニアに人気の仕事はAIやロボットに仕事を奪われる可能性が高いのか?
シニアに人気が高い仕事がわかったので、次はそれらの仕事が
- AI(人工知能)
- ロボット
などに仕事を奪われやすいかを、関連する研究やレポートをつかい調べます。
基本的な部分を説明すると、AIやロボットつまりテクノロジーによって代替されやすい(取って代わられやすい)仕事には
- 仕事内容がシンプルな単純作業の仕事
- 同じような作業を繰り返す仕事
- 特別なスキル・知識が必要でない仕事
これらのような特徴があります。
この時点で勘づいた方は多いと思いますが、仕事に関するさまざまな研究によると
- 事務作業
- 軽作業
- 清掃
- 接客・サービス
などの仕事はAIやロボットに仕事を奪われやすい傾向があります。
オックスフォード大学オズボーン教授の「雇用の未来」
2014年頃から、日本では
「AIが人間の仕事を奪う!」
という風なことがよく語られるようになりました。
この現象のきっかけになったのは、2013年にオックスフォード大学のオズボーン教授が発表した
「雇用の未来(The Future of Employment)」
というレポートです[1]Oxford Martin School:THE FUTURE OF EMPLOYMENT:。
雇用の未来では、さまざまな職業が10年後、つまり2020年代に無くなる確率を算出しています。
シニアに人気の仕事はどれくらいの確率で無くなるのでしょうか。
それぞれの仕事が無くなる確率は以下のようになります。
- 接客・サービス→(販売員が)98%
- 事務作業→(一般的な事務員が)96%
- 軽作業→軽作業に該当するような仕事は軒並み90%以上
- 清掃→66%
この数字はとてもショッキングです。
しかし、2013年から10年近く経過した2021年現在、これらの仕事は無くなっているでしょうか。
人工知能やロボットは日々進化していますが、仕事は意外なほど無くなっていません。
なので、レポートの内容を鵜呑みせず
「理屈やテクノロジーの進化を考えると、これらの仕事は将来的に無くなるかもなあ・・」
くらいに考えていれば良いかもしれません。
リクルートワークス研究所による調査
次はリクルートワークス研究所が発表した
AIによって仕事を奪われるのは誰か(1) 坂本貴志
こちらの記事のデータを紹介します[2]リクルートワークス研究所:坂本貴志(2020)「AIによって仕事を奪われるのは誰か(1)」リクルートワークス研究所編「全国就業実態パネル調査 … Continue reading。
リクルートワークス研究所はAIやロボットに代替されやすいさを、確率ではなくみなさんお馴染み「偏差値」とランキングで発表してくれています。
なので、ここからはシニアに人気の仕事の
「AIやロボットに代替されやすさの偏差値とランキング」
を紹介します。
まずは「清掃」ですが、全体の3位にランクインし、偏差値は67.3です。
つまり、かなり代替されやすいということですね。
つぎは「軽作業」です。
リクルートワークス研究所の発表では「配達・倉庫作業」が偏差値65.0で5位に入っています。
こちらも代替されやすいようです。
次は「事務作業」です。
事務作業としては「一般事務」「その他事務」が同率でランクインし、それぞれ偏差値は59.6です。
さいごは「接客・サービス」です。
10位に「販売店員」がランクインし、偏差値は58.7。
12位に「ウェイター・ウェイトレス」がランクインし、偏差値は58.4。
14位に「宿泊接客」がランクインし、偏差値は57.5となりました。
- オックスフォード大学のレポート
- リクルートワークス研究所の発表
この二つのデータを見ると、とても残念ですが、全体としてみたらシニアに人気の仕事は
「AIやロボットに代替されやすい」
と言えそうですね。
同じに人気の「調理師」は偏差値55.4で21位でした。
やはりAIなどのテクノロジーで代替されやすいようです。
リクルートワークス研究所は以下のような画像を公開しています。
どんな職業が代替されやすいかわかりやすく整理されていますので、ぜひサイトでチェックしてください。
AIによって仕事を奪われるのは誰か(2) 坂本貴志
いま現在どんな風に自動化・機械化が進行しているのか?
ここまでで、どうやらシニアに人気の仕事は将来減っていく可能性が高そうだということがわかったと思います。
とはいえ、イメージが湧かないと現状も把握しにくいので、いま現在
- AI(人工知能)などのソフトウェア
- ロボットなどの機械
などがどれくらい仕事ができるのかを紹介します。
それぞれの職業で、どんな風な仕事ができるのかがわかる動画をリンクしていくので、気になる動画があったらチェックしてください。
事務作業はRPAで自動化できる
下の動画はパソコンを使った定型の事務作業を自動化してくれる
「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」
というソフトウェアの導入事例を紹介したものです。
RPAはAIほど知的な作業はできません。
それでも、RPAによって単純作業はどんどん自動化されいます。
仕分けや梱包などの軽作業はロボットが得意
下の動画はモノの
- 仕分け
- 梱包
などの仕事をロボットがする動画です。
2021年の段階でこの性能です。
10年後はどうなっているでしょうか?
消毒や清掃ロボットはこれからどんどん進化する
新型コロナウイルスの蔓延により、無人で建物の清掃や消毒ができるロボットが注目されました。
社会に必要なサービスには、どんどん研究開発費が集まります。
となると、おそらく清掃・消毒ロボットはこれからどんどん高性能になっていくはずです。
とはいえ、じつは掃除などはけっこう複雑な作業なので、事務作業や軽作業よりは自動化の進行が遅れると思います。
よっぽど革新的な発明がないかぎり、清掃系の仕事では人とロボットが共存するはずです。
接客・サービス
接客やサービス業もけっこう複雑な仕事です。
なので、いきなりAIやロボットが対応するのではなく、徐々に人が減りロボットが増えていく、という流れになると思います。
どうやったら老後に仕事を得て、安定して暮らせるか?
ここまで紹介したように、いまシニアの間で人気の仕事は自動化されるリスクが高いです。
それに、どんどんテクノロジーは進化します。
では、これから老後を迎える人はどうしたらいいのでしょうか。
60歳以上でも仕事を確実に得る方法としては
などがあります。
とはいえ、どんな仕事・業界でもどんどん新しいテクノロジーが導入されます。
いま需要が高い仕事や人手不足の仕事も、自動化されるリスクはゼロにはなりません。
なので、結局のところ
「常に新しいことを学び続ける」
これが、仕事を得るための確実な方法だと思います。
何歳になっても好奇心をもち、学び続けてスキルを身につける。
そして社会に役立つスキルを活かして働く。
簡単なことではありませんが、これが最も確実です。
幸い、いまはインターネットを使えば高度なスキルを無料で身につけることができます。
なので、もし興味があって、なおかつ需要が高そうなスキルがあればどんどん学ぶべきです。
引用・脚注
↑1 | Oxford Martin School:THE FUTURE OF EMPLOYMENT: |
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↑2 | リクルートワークス研究所:坂本貴志(2020)「AIによって仕事を奪われるのは誰か(1)」リクルートワークス研究所編「全国就業実態パネル調査 日本の働き方を考える2020」Vol.2 |
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