いま、日本を含めた先進国の政府や大企業は「脱炭素(だつたんそ)」に注目しています。
ただ注目するだけでなく、以下のような具体的な取り組みを発表しています。
政府や企業のこれらの動きは
「GX(グリーントランスフォーメーション)」
という考え方によるものです。
GXとは簡単に言えば、脱炭素に取り組むことで社会や産業の構造を変えることです。
いま現在GXはどんどん拡大しており、政府や会社だけでなく、個人の意識や行動も変えている最中なのです。
GXによって注目されるであろうグリーンスキル
GX(グリーントランスフォーメーション)の進行により、GXに関連するスキルが注目されつつあります。
それは
「グリーンスキル」
と呼ばれるスキルです。
ではグリーンスキルとはどんなスキルでしょうか?
世界最大の求人情報サイトLinkedInのチーフエコノミストであるKarin Kimbrough氏は以下のようにグリーンスキルを定義しています。
They are abilities or knowledge a worker can use to prevent, monitor or clean up pollution, and optimize stewardship and conservation of the natural resources that companies use to produce goods and services.
(日本語訳)環境汚染を防止・監視・浄化し、企業が自社の商品・サービスを生産するために使用する天然資源の管理・保全を最適化する能力や知識のこと。
Karin Kimbrough氏はグリーンスキルとして、具体的には以下のスキルを上げています。
- 汚染防止
- 再生可能エネルギーの生成
- エコシステムマネジメント
- 持続可能な開発
シンプルに言うと、グリーンスキルとは
「持続可能な社会を実現するために活用できるスキル」
とも言えそうですね。
おそらく、この記事を読んでくださっている方は
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」
という言葉をご存知だと思います。
2020年から2021年にかけて、DXは急スピードで進行している真っ最中です。
なので、DXの「D」つまりデジタル系のスキル・知識を持つ人材はたくさんの会社から引っ張りだことなっています。
もしDXのようにGXが注目されたらどうなるでしょう。
ほぼ確実に、GXの「G」つまりグリーンスキルを持つ人材が次は引っ張りだこになります。
なので、グリーンスキルは働く人にとって将来の重要スキルになる可能性があるのです。
GX人材はすでに金融機関やコンサル業界から大人気
将来的に、GX人材つまりグリーンスキルを持つ人材は引っ張りだこになる可能性があります。
ですが、今のところGXは注目されはじめた段階で、2021年はまだ「GX元年」とも呼べないような段階です。
そんな段階なのに、日経スタイルの記事はグリーンスキル関連の人材採用の過熱ぶりを以下のように紹介しています。
21年6月11日に公表された企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)改定版では、「ESG(環境、社会、企業統治)」をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)に関する内容が大幅に補充されました。ESG、SDGsへの意識が高まる中、これらの取り組みを推進する人材についても争奪戦がスタート。サステナビリティーの専門家、および次世代経営者の領域で人材採用が過熱しつつあります。
じつは、もうすでにグリーンスキルを持つ人材の争奪戦ははじまっているのです。
ただ、今のところ業界や会社はある程度絞られており
などがグリーンスキルを持つ人材を奪いあっています。
GXの浸透すると幅広い仕事でグリーンスキルが必要になる
もしGXが社会全体に広がれば、グリーンスキルを持つ人材の需要はとても高くなります。
すでに説明したように、2021年現在はDXが進行している最中です。
なので、プログラミングやWEBマーケティングなどデジタル系スキルを持つ人は企業から引く手数多です。
もしGXが拡大したら、DXと似たような状況になることもありえます。
じっさい、LinkedInはすでにファッション業界などで働く人にはグリーンスキルが求められるようになっていると指摘しています[8]Green Biz:How LinkedIn sees the growing green job market。
正直なところ、どこまでGXが拡大するかはわかりません。
単なるブームのようなもので終わることもありえます。
しかし、地球環境の問題はあらゆる企業、あらゆる業種にとって関係のある問題です。
だから極端な話をすれば、すべての仕事でグリーンスキルが必要になるかもしれないのです。
そのとき、グリーンスキルは今のデジタル系の知識と同じように
「みんな持っているのが当たり前の知識」
になっている可能性だってありえます。
グリーンスキルは書籍やスクールで学べる
ここまで、グリーンスキルの需要や需要が高くなっている背景について説明しました。
読んでグリーンスキルについて興味を持ってくださったら、関連する書籍やスクールでぜひグリーンスキルについて学んでください。
引用・脚注
↑1 | 経済産業省:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました |
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↑2 | GOV.UK:The ten point plan for a green industrial revolution |
↑3 | apple:Apple、2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成を約束 |
↑4 | Business Insider Japan:マイクロソフトが公表した「脱炭素」の本気度…3年でサーバー冷却に使う水を95%削減、再エネ調達、導入企業の「脱炭素」支援も(COP26) |
↑5 | 金融機関ではESG投資の対象の分析などでグリーンスキルは高い需要があります。 |
↑6 | コンサル会社は企業のSDGs対応のコンサルティングに力を入れており、SDGsに詳しいコンサルタントの需要はとても高くなっています。 |
↑7 | 大企業は経営企画室などにSDGsを推進する部署などを作りGXに対応するケースが増えつつあります。 |
↑8 | Green Biz:How LinkedIn sees the growing green job market |
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