いまは30歳を超えても未経験の業界に転職することは珍しいことではありません。
しかし、もし30代後半や40代以上の人が若い業界や会社に転職するときは
「Ageism(エイジズム)」
という偏見が待ち構えているかもしれません。
若い人が多いIT・ネット業界では35歳は年寄り?
スウェーデンにあるヨーテボリ大学の研究者たちは、様々な国の様々な年齢の技術者18人にインタビューをしました。
その結果、35歳以上の技術者はIT・ネット業界では
「年寄り」
だと見られてしまうことがわかりました[1]University of Gothenburg:Ageism common in the tech industry。
どういうことかと言うと、IT・ネット業界のような若い業界だと、35歳以上の人は同僚たちから
- 若者のように長時間働いてくれない
- 新しい技術動向をキャッチするのが苦手で、最新技術を理解していない
- テクノロジーへの関心よりもマネジメントに関心がある
こんな印象をもたれてしまうようです。
要は知識・スキル的にもノリ的にもついてこれないだろう、と思われているのですね。
こんな印象を持たれてしまったら
「30代 IT・ネット業界未経験」
このような経歴の人がIT・ネット業界に転職するのはかなり難しくなってしまいます。
確かにインターネット産業の歴史、たとえば
などを見ても、IT・ネット業界は他の産業と比べるとかなり新しい産業です。
それに、IT・ネット系企業の経営者も比較的若い人が多いです。
だから若い従業員が多く、相対的に年齢が高い人は扱いづらい年寄り扱いされてしまうのでしょう。
「Ageism(エイジズム)」という年齢差別
インタビューを共同で実施した、マルメ大学のヤコブ・スベンソン教授は以下のように語っています。
年齢に対する固定観念は無意識のうちに機能することがあります。
私たちが会った人たちは、意識的に年配の同僚を排除していませんでした。
つまり、意識して35歳以上の人を年寄り扱いしていた訳ではないのです。
これは
「Ageism(エイジズム)」
という一種の偏見なのです。
Ageism(エイジズム)について簡単に説明します。
Ageismという言葉を提唱したロバート・バトラーという精神科医はエイジズムについて
「「年をとっているという理由で高齢者たちを組織的に一つの型にはめ差別すること」
と定義しています。
このような差別は無意識のうちに発動するので、なかなか対応が難しいです。
若い人には良い方に働きますが、逆に30才を超えてからIT・ネット業界に未経験から転職しようとする人にとってはとても大きな問題です。
ただ、エイジズムは人種差別の年齢版と言えるような偏見なので、対応はとても難しいのです。
35歳未経験だけどネット系の会社に転職したい場合どうしたら良い?
「35歳未経験だけどネット系の会社に転職したい」
こう考えている人はたくさんいます。
しかし、エイジズムという偏見が行く手に待ち構えています。
では、エイジズムを克服して就職・転職にする方法はあるのでしょうか。
方法としておすすめなのは、年寄りならではのスキルをアピールすることです。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョシュア・ハーツホーン氏の研究によると、人の能力は細分化でき、それぞれピークが迎えるタイミングは違います。
例を挙げると以下のような感じです。
若いことは素晴らしいことですが、能力という点では未完成の部分がたくさんあるのですね。
なので、もし若い組織に不足していそうな能力を持っている場合、その能力をアピールすると良いかもしれません。
引用・脚注
↑1 | University of Gothenburg:Ageism common in the tech industry |
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