【ピアソン・オックスフォード調査】2030年の雇用市場で需要が高いスキルランキング

2030年の雇用市場で需要が高いスキル何でしょう?

働く20代30代なら気になるであろう、このテーマについて調査したレポートがあります。

  • オックスフォード大学マーティンスクール
  • 教育系企業のピアソン

などが2017年9月に共同で発表した
スキルの未来-2030年の雇用
です。

サイト管理人 南研吾
サイト管理人 南研吾
レポートの著者には「雇用の未来」という論文で有名なオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン教授も名を連ねています。

この記事では、レポート内で
「2030年の雇用市場で需要が高いスキル」
の上位にランクインしたスキルを紹介します。

2030年に需要が高いスキルを知っていれば、今のうちからリスキリングして未来に備えることもできます。
リスキリングに興味がある方はぜひ読んでください。

2030年の雇用市場で需要が高くなるであろうスキルは?

さっそく、2030年の雇用市場で需要が高いと考えられているスキルを見てみましょう。

レポートでは1位から120位までランキング化されていますが、ここで紹介するのは上位20位です。
スキルの名称は英語と日本語の両方を記載しています。
英語から日本語への翻訳は私がしましたが、それぞれのスキルの定義を知りたい方は

などの外部サイトで確認してください[1]「O*NET Online」はアメリカの労働省が運営する職業情報サイトで、仕事に関する様々なデータを提供しています。

ちなみに、レポートではアメリカ版とイギリス版で異なるランキングがありますが、この記事ではアメリカ版を紹介します。
それでは1位から20位までを一気に紹介します。

ランキング英語日本語ドル日本円(1ドル110円換算)
1位Petroleum engineering石油工学87,9899,678,790
2位Computer programmingコンピュータープログラミング86,0989,470,780
3位Computer engineeringコンピューターエンジニアリング85,9969,459,560
4位Computer scienceコンピューターサイエンス85,7669,434,260
5位Electrical, electronics, and communications engineering電気・電子・通信工学80,8198,890,090
6位Operations researchオペレーションズ・リサーチ80,1668,818,260
7位Computer and information science情報科学78,6038,646,330
8位Statistics統計学75,9168,350,760
9位Applied mathematics応用数学73,5588,091,380
10位Chemical engineering化学工学72,7137,998,430

ランキング上位はソフトスキルが多い

つぎは上位にランクインしたスキルのざっくりとした傾向をつかみましょう。

ご覧のとおり、需要が高いスキルのランキングには

  • プログラミング(ランキングでは66位)
  • デザイン(ランキングでは63位)
  • 英語(ランキングでは21位)
  • データサイエンス(ランク外)

などのような、いま(2021年)社会人から人気のあるスキルが上位に入っていません[2] … Continue reading

意外ですが、ランクインしたのは「ソフトスキル」と呼ばれる、どちらかと言えば地味なスキルばかりです。

サイト管理人 南研吾
サイト管理人 南研吾
「ソフトスキル」とは、コミュニケーション能力やリーダシップのような、能力の評価・見える化が難しいスキルのことです。
ちなみに、プログラミングなどのスキルはソフトスキルと反対の意味で「ハードスキル」と呼ばれます。

特に多いのは学習やコミュニケーションに関するスキル

さらにランキングの上位に入っているスキルを分析すると

  • 学習
  • コミュニケーション

この二つに関わるものが多いことに気づくと思います。

学習に関わるのは

  • 1位の戦略的学習力
  • 6位の教える力
  • 10位のアクティブラーニング

などのスキルで、コミュニケーションに関連するのは

  • 2位の心理学
  • 3位の指導力
  • 4位の他者理解
  • 7位の協調性
  • 13位の伝える力
  • 14位の顧客サービス志向
  • 15位のアクティブリスニング
  • 17位のわかりやすく伝える力
  • 18位のメディア制作・運営能力
  • 19位の明瞭に話す力

などのスキルです。

なぜ2030年に学習スキルが高く評価されるのか?

2030年になぜ学習やコミュニケーションのスキルが高く評価されるのでしょうか?
まずは学習系スキルが高く評価される理由を推測します。

学習に関するスキルが高く評価される理由として
「テクノロジーの進歩」
が考えられます。

現代に生きる私たちにとって、冷蔵庫やインターネットやスマホは生活に欠かせません。
これらのテクノロジーにより人間の生活は便利に、そして豊かになりました。
そして、テクノロジーを活用し人々の生活を豊かにした人が大金持ちになるケースが目立つようになりました[3] … Continue reading

ということは、今はテクノロジーの時代ということなのでしょうか。
世界経済フォーラムが
「2025年までに需要が増える仕事」
として発表した仕事を見ても、デジタル系の仕事がとても多いです[4]World Economic Forum:The Future of Jobs Report 2020

けれどテクノロジーの進化は早く、対応するのは大変です。
下の図はGoolgeでエンジニアとして働くエリック・テラーが

  • 人間の適応力
  • テクノロジーの進化

この二つの関係性をグラフで描いたものです。
テクノロジーが人間の適応力を超え、超えた後もものすごい勢いで進化していることがわかります。

エリック・テラーによる人間の適応力とテクノロジーの進化の関係性のグラフ【日本語版】

ですが、変化が早すぎるテクノロジー系の仕事で必要なスキルを教育機関で学べる人はほとんどいません。
だから自分で学び、新しいテクノロジーに対応するしかありません。

しかし、テクノロジーを学べばそれでスキルに関する問題が解決するわけではありません。
グラフにあるように、テクノロジーの進化は早すぎるのです。

適応しようとしてテクノロジー系のスキルを学んでも、すぐにまた新しいスキルを学ばなくてはいけなくなります。
ようは、過去に学んだスキルだけで生きていくのは難しい時代なのです。
だから、もしテクノロジーに適応しようと思ったら学び続けなくてはなりません。

とはいえ、人の時間は1日24時間しかありません。
平日は8時間以上働き、土日は友達や家族を遊んだりするでしょうから、勉強にあてられる時間は限られています。
それなのに、何かを学び続けなくてはいけない、というのが未来の世界です。
だから効率的に何かを学ぶ能力が求められるのです。

大袈裟にいえば、何かを学ぶということは自分の脳の構造を変えることです[5]何かを学ぶと脳内の神経細胞同士のシナプス結合が増えると言われています。
効率的に学ぶスキルを身につけていれば、テクノロジーのスキルだけでなく、ランキングの上位に入ったソフトスキルだって短期間で身につけられます。

だから
「2030年の雇用市場で需要が高いスキル」
として、学習系のスキルが上位に入ったのでしょう。

なぜ2030年にコミュニケーションスキルが高く評価されるのか?

つぎはコミュニケーションスキルが高く評価される理由についてです。

これからAIやロボットはどんどん進化し、人と機械が一緒に働く時代になると言われています。
世界経済フォーラムによると、2020年までは世界の労働力の約33%を機械・ロボットが担当していました。
これが2025年になると、この割合が47%に増えると予測しています[6]世界経済フォーラム:仕事の未来レポート2020

これにより仕事の生産性は上がるでしょうが、単純作業等はどんどんAIやロボットが担当します。
将来的には、プログラミングやデザインなどのハードスキルもAIやロボットなどの「機械」が担当するかもしれません。
となると、人間が付加価値を持てるのは機械が苦手なソフトスキルだ、となります。

人間にしかできない仕事として

  • 医師をはじめとした医療・介護の仕事
  • 教師をはじめとした人に何かを教える仕事
  • カウンセラーをはじめとして人の悩みや問題を解決する仕事

などがよく挙げられます。
これらのような、人間にしかできない仕事ではコミュニケーションスキルが大事な要素です。

2030年にはこれまで人がしていた仕事を機械が担当し、人は人にしかできない仕事に集中する。
となると、2030年に働く人にとってコミュニケーションスキルが重要になるのは間違いありません。

ハードスキル・ソフトスキルの両方を身につけることが大事

ここまで、2030年に必要になるであろうスキルを紹介しました。

レポートにあるように、ソフトスキルはとても大事です。
しかし、ハードスキルが大事なのも真実です。

実際問題として、いくらソフトスキルが優れていてもハードスキルが無いとできない仕事はたくさんあります。
医者なんかはそうですよね。
いくら人柄が優れていても、専門スキルがないと医者にはなれません。
それに、ハードスキルはそのわかりやすさが「売り」です。
とてもわかりやすいので、需要があるハードスキルを持っていれば就職・転職などで有利になるのです。

つまり、ソフトスキルもハードスキルも両方とも大事だということです。
ただ、ソフトスキルは生きている限りずっと活用できます。
それに、時代によって廃れることも少ないです。

なので、もし未来に向けてスキルを学ぶとしたら

  • ハードスキルは期間を決めて短期間(数ヶ月以内)で学ぶ
  • ソフトスキルは期間をあまり決めずに長期間・超長期間で学び続ける

このような感じで学ぶのが良いのではないでしょうか。

引用・脚注

引用・脚注
1 「O*NET Online」はアメリカの労働省が運営する職業情報サイトで、仕事に関する様々なデータを提供しています。
2 侍エンジニアブログ:〇コロナ禍において「スキルを身につけたい」「手に職をつけたい」と思う人が約8割に。身につけたいスキル2位に「プログラミング」【スキルに関する意識調査レポート】
3 マイクロソフト、テスラ、Amazonなどのテクノロジー系企業の創業者たちは世界を代表する大金持ちです。日本でもテクノロジーを活用して服を簡単に買えるようなサービスを作った前澤友作さんが大金持ちとして有名です。
4 World Economic Forum:The Future of Jobs Report 2020
5 何かを学ぶと脳内の神経細胞同士のシナプス結合が増えると言われています。
6 世界経済フォーラム:仕事の未来レポート2020

コメント

タイトルとURLをコピーしました