この記事では
- オックスフォード大学マーティンスクール
- 教育系企業のピアソン
などが2017年9月に共同で発表した
「スキルの未来-2030年の雇用」
から
「2030年の雇用市場で需要が低いスキルランキング」
を紹介します。
2030年の雇用市場で需要が低いスキル【アメリカ】
さっそく2030年に需要が低くなるスキルのランキングを紹介します。
順位 | スキル(英語表記) | スキル(日本語表記) |
---|---|---|
1位 | Control Precision | (機械や車などを)正確に操作する力 |
2位 | Wrist-Finger Speed | 指や手を素早く動かす能力 |
3位 | Rate Control | レート制御 |
4位 | Manual Dexterity | 手作業の器用さ |
5位 | Finger Dexterity | 指先の器用さ |
6位 | Operation and Control | 機材やシステムの操作コントロール |
7位 | Reaction Time | 体の反応速度 |
8位 | Arm-Hand Steadiness | 腕や手をブレずに安定させる能力 |
9位 | Equipment Maintenance | 機器の定期メンテナンス |
10位 | Response Orientation | 体を正しく反応させる力 |
11位 | Repairing | 機械やシステムを修復する能力 |
12位 | Glare Sensitivity | 明るい場所やまぶしい場所でモノを見る力 |
13位 | Peripheral Vision | モノの動きを目で捉える力 |
14位 | Night Vision | 暗い場所でモノを見る力 |
15位 | Operation Monitoring | 機械の動作のモニタリング |
16位 | Production and Processing | 商品の製造・流通管理 |
17位 | Multilimb Coordination | 四肢を適切に動かす力 |
18位 | Sound Localization | 音が発生した場所を伝える力 |
19位 | Spatial Orientation | 自分やモノの位置を把握する力 |
20位 | Speed of Limb Movement | 腕や足を素早く動かす力 |
目や手・指などの身体を使ったスキルの需要は減る
それでは需要が下がるスキルの全体の傾向をつかみましょう。
といっても、これはとてもわかりやすいですね。
ランキングを見ると
- 目
- 手や腕
- 足
をはじめとした「身体」を使ったり、手などを正確に動かすスキルが入っています。
これらのスキルが必要な仕事といえば
などが浮かびます。
いわゆるパート・アルバイトとして求人募集されることが多い仕事ですね。
なぜ手足などを利用するスキルの需要は減るのか?
では、なぜ手や足などの「身体」を利用するスキルの需要は減るのでしょうか。
目・手・足などを思い通りに動かせるスキルはレアなスキルではありません。
この世界に生まれてくる人の多くが成長の過程でごく自然に身につけるスキルです。
このような希少性が低いスキルを利用して働いている人はたくさんいます。
手や足を動かす仕事は世の中にけっこうあり、これまで多くの雇用を生んできました。
しかし、いまでは
- AI(人工知能)
- ロボット
などの進化はめざましく、人の目や手足の代わりになれるだけの機能は十分に備わっています。
つまり、機械が人の代わりに仕事ができるようになってきたのです。
基本的にはAIやロボットの機能は時代とともに進化しつづけます。
それに、AIやロボットもどんどん低価格で使えるようになります。
Business Insider Japanの記事によると、アメリカではレストラン向けのロボットが1日1,600円程度でレンタルできます。
このような、人よりも格段に安いお金で働いてくれるAIやロボットはどんどん増えるはずです。
となると、会社の経営者としては人よりもコストが低いAIやロボットの導入を考えるのは当たり前のことです。
世界経済フォーラムは、2020年に発表した「仕事の未来レポート2020」で以下のように発表しています。
企業の経営陣の80%超が、労働プロセスをデジタル化し、新たなテクノロジーを展開する計画を推進しつつあり、雇用主の50%が、社内の何かしらの役割の自動化推進を見込んでいます。
2020年の段階でもうこんな感じです。
これが2030年になったら、自動化に対して高いモチベーションをもつ経営者はもっと増えるでしょう。
なので、2030年にはこれまで人がやってきたような手足を使う仕事の多くはAIやロボットが担うようになるはずです。
このとき、手や足などの「身体」を利用するスキルの価値は現在よりも減るのは間違いありません。
体ではなく頭を使うスキルの需要は増える
この記事では
「スキルの未来-2030年の雇用」
で掲載されている、2030年の雇用市場で需要が低いスキルランキングを紹介しました。
同じレポートでは、その逆で
「2030年の雇用市場で需要が高いスキルランキング」
も掲載されています。
まとめると、2030年に需要が高いと考えられているのは
などのような
「頭を使うスキル」
です。
マイクロソフトは、全世界の求人情報を分析した結果として
「2025年までに、世界中でテクノロジー系の新しい雇用が1億4900万人分生まれる」
と発表しています[1]Microsoft:Microsoft launches next stage of skills initiative after helping 30 million people。
この発表からもわかるように、新しいスキルや概念を学ぶ力や思考力が必要なテクノロジー系の仕事はどんどん増えています。
テクノロジー系の仕事ではありませんが
「YouTuber(ユーチューバー)」
だって学習スキルやコミュニケーションスキルが必要な仕事です。
いま注目されている仕事の多くは、新しいことを学んだり、コミュニケーションスキルが必要な仕事ばかりなのです。
なので、もし
- 目
- 指や腕
- 足
などを正確に動かすスキルによって生活するお金を稼いでいるなら、別のスキルを身につけることを考えた方がいいかもしれません。
もし新しいスキルを学ぶなら、これから需要が高くなるであろう
- デジタル系のスキル
- コミュニケーションに関するスキル
などを学ぶことをすすめます。
これからの時代、これらのスキルは一番つぶしがきくスキルです。
学んでおいて損をすることはないでしょう。
引用・脚注
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