「高い認知スキルが必要な仕事」とはどんな職種なのか?

みなさんに見て頂きたいグラフがあります。

下のグラフは、マイクロソフトが2020年に発表したものです。[1]Microsoft:Microsoft launches next stage of skills initiative after helping 30 million people

これまでどんな仕事が減ったかについてのデータ

これまでどんな仕事が減ったかについてのデータ マイクロソフトのサイトから引用

水色の線は
「高い認知スキルが求められる、単純作業ではない仕事の数」
の推移をあらわしています。
オレンジ色の線は
「高い認知スキルが求められない、単純作業の仕事の数」
の推移をあらわしています。

グラフを見ると、2000年代前半から単純作業の仕事が急激に減っていることがわかります。
そして現在にいたるまで、単純作業の仕事は減り続けています。
このグラフを見ると、これからの未来もオレンジ色の線はどんどん下がっていきそうですね。
逆に、水色の線はこれからも右肩上がりで伸びていきそうな勢いを感じます。

どうやら、これからの時代に需要が高くて将来有望な仕事とは何かをざっくり言うと
「高い認知スキルが求められる、単純作業ではない仕事」
このようになりそうです。

では、具体的にはどんな仕事が「高い認知スキル」が求められる仕事なのでしょうか?
この記事では高い認知スキルが求められる仕事について説明します。

「認知スキル」とはどんな能力なのか?

もし誰かに
「これから有望なのは高い認知スキルが求められる、単純作業ではない仕事だ!」
突然こんなことを言われても困ってしまいますよね。

「認知スキルが求められる、単純作業ではない仕事」
これがどんな仕事なのか、イメージできる人は少ないです。
おそらくほとんどの人が
「そもそも認知スキルってなに?」
このように思うはずです。
なので、認知スキルとは何かをまず解説します。

認知スキルとはどんな能力のこと?

認知スキルとはどんな能力でしょうか。
OECD(経済協力開発機構)が認知スキルとは何かを定義しています。
OECDによると、認知スキルとは

  • 基礎的認知能力(パターン認識、処理速度、記憶)
  • 獲得された知識(呼び出す、抽出する、解釈する)
  • 外挿された知識(考える、推論する、概念化する)

などの能力・知識を活用した総合的な能力のことです[2]株式会社明石書店:社会情動的スキル

よりわかりやすく言うと、認知スキルとは

  • 読む力(読解力)
  • 考える力
  • 学ぶ力
  • 覚える力
  • 予測する力
  • 問題を解決する力

など、人の頭脳に備わっているさまざまな能力を使いこなすスキル、とも言えます。

認知スキルは仕事をする上での基礎になる力

人間は昔から

  • 狩り
  • 稲作

などの仕事をして、現在まで生きてきました。

現代の人々がこなしている仕事と比べると、弥生時代の人がおこなう狩りや稲作はより単純な仕事だったはずです。
おそらく、現代のオフィス仕事や農業などと比べたら必要な認知スキルはずっと低かったと思います。
それでも仕事をこなすめには認知スキルが必要だったのは間違いありません。

認知スキルがいらない仕事は今も昔もほとんどありません。
認知スキルは仕事をする上でほぼ必ず必要になります。
つまり、人が仕事をするための基礎になるのが認知スキルなのです。

高い認知スキルが必要な仕事はどんな仕事?

ここからは、本題である
「高い認知スキルが必要な仕事はどんな仕事なのか」
これについて説明します。

さきに「高い認知スキルが必要ではない仕事」を紹介します。
そして、つぎに「高い認知スキルが必要な仕事」を紹介する、という流れになります。

ここで、これから需要が高くなりそうな仕事は何か。
逆に、これから需要が減りそうな仕事は何なのか。
これらのイメージをつかんでください。

高い認知スキルが必要ではない仕事の例

高い認知スキルが必要ではない仕事には、以下のように呼ばれる仕事・業務が該当します。

  • 単純作業
  • マニュアル仕事
  • ルーティン作業
  • 定型業務

記事の冒頭で紹介した、マイクロソフトが発表したグラフをもう一度見直しましょう。

これまでどんな仕事が減ったかについてのデータ

これまでどんな仕事が減ったかについてのデータ マイクロソフトのサイトから引用

グラフからわかるように、単純作業の仕事(オレンジ色の線)は確実に減っています。
もしあなたが毎日こなしている仕事のうち、その大部分が単純作業ならその仕事はこれから減っていく可能性が高い、ということです。

高い認知スキルが必要ではない仕事の具体的な例としては

  • 受付・窓口
  • レジ係
  • データ入力
  • 事務

などが挙げられます。
オックスフォード大学のオズボーン教授が発表した
「雇用の未来」
という有名な論文[3]Oxford Martin School:THE FUTURE OF EMPLOYMENT:でも、これらの職業は「これから消滅しやすい仕事」として上位に入っています。

このような仕事はすでにかなり減っていますし、これからも減り続けるでしょう。

サイト管理人 南研吾
サイト管理人 南研吾
例として挙げた仕事が減っていく理由はとてもシンプルで、テクノロジーの進化が原因です。
AI(人工知能)やRPAなどと呼ばれる技術が単純な仕事を低いコストでどんどん自動化しているので、人が単純作業をする必要が無くなっているのです。
なので、最近になって少なくなっている仕事は「AIやロボットなどに奪われやすい仕事」ともいえます。

高い認知スキルが必要な仕事の例

つぎは高い認知スキルが必要な仕事についてです。

高い認知スキルが必要な仕事には

  • お客さんとなる相手が求めるものが何かを推測する能力
  • 想像力をつかい、人が喜ぶモノやサービスを作る能力
  • 情報や状況を分析して、問題を解決する能力

などの能力が求められる、という特徴があります。

簡単にいうと
「何かの目的を達成するのに頭をフル回転させなくてはいけない仕事」
このような仕事が
「高い認知スキルが必要な仕事」
だと言えます。

具体的な例をあげると、以下の仕事が高い認知スキルが必要な仕事に該当します。

  • ITエンジニア
  • データサイエンティスト
  • コンサルタント
  • マーケティング担当者
  • YouTuber
  • アーティスト
  • セールス・販売
  • 教師・保育士

これらの仕事は、いまのところAIやロボットなどに仕事を奪われにくいです。
ですが、少しづつしか進化・成長できない私たち人間とちがい、テクノロジーはいまも急速に進化し続けています。
だから、例として挙げた仕事なら一生安泰という話ではありません。

サイト管理人 南研吾
サイト管理人 南研吾
例として挙げた仕事をしていても、もし業務内容の大半が単純作業だったらその仕事は自動化されやすいです。
要は単純作業が自動化されやすいのです。

高い認知スキルが必要な仕事とは「人間らしい仕事」でもある

ここまで「高い認知スキルが必要な仕事」について色々と説明しました。

この記事を読み、いま高い認知スキルが必要でない仕事をしている人は将来について不安を感じたかもしれません。
けれど、前向きに考えましょう。
「高い認知スキルが必要な仕事」とは、考えたり想像することが必要な仕事です。

この世界にはたくさん脅威があります。
病気や天災、さらには犯罪なども人類にとっては脅威となります。
人はこの厳しい世界を生き延びるため、昔から考えたり想像することを続けてきました。
そして、これからも思考したり想像し続けるでしょう。

人間はほかの生物よりも考えたり想像することが得意だからここまで繁栄している、とも考えられます。
ということは、考えたり想像したりする仕事は
「人間らしい仕事」
とも言えます。

それに人が自分が発明したモノ(パソコンやロボットなどの機械)に仕事を奪われるのは今にはじまったことではありません。
1800年代にイギリスで第一次産業革命がはじまって以来、程度はちがえど機械は人の仕事を奪い続けています。
それでも、世界は悪くなっているようには見えません。
むしろ私たちの生活はどんどん豊かに、どんどん便利になっています。

機械にできる仕事は機械に任せる。
そして人間にしかできない、高い認知スキルが必要な仕事は人間がする。
こうすることによって、人間は「時間」という限られた資源をより有意義なことに使えます。
こうやって人間は発展してきたし、これからもこのパターンが続く、ということです。
だからポジティブに考え、起きた変化に対応していくことが大事だと思います。

引用・脚注

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