LinkedIn(リンクトイン)は転職サイトとしても利用される、世界一の仕事用SNSです。
リンクトインには世界200カ国で合計7億5,000万人の利用者がいます。
なので、純粋にSNSとして見ても世界トップクラスのサービスです。
そんなリンクトインが
- 2019年4月〜10月
- 2020年4月〜10月
このふたつの期間で求人数の推移に関するデータを比較・分析しています[1]LinkedIn:LinkedIn Jobs on the Rise: 15 opportunities that are in demand and hiring now。
どういうことかと言うと
- コロナ前(2019年4月〜10月)
- コロナ後(2020年4月〜10月)
で職業別の求人数を比べ、新型コロナで仕事の需要がどう変わったかを調べてみよう、ということですね。
この記事ではリンクトインが発表した、新型コロナが流行してから需要が増えた仕事を紹介します。
新型コロナ以降の仕事の未来の傾向を知りたい方はぜひこの記事を読んでください。
新型コロナが流行してから需要が増えた15種類の仕事
リンクトインが
「新型コロナが流行してから需要が増えた仕事」
として発表した仕事は15種類あります。
これからその15種類の仕事を紹介していくのですが、先に仕事の大まかな種類というか、カテゴリを紹介します。
そのあとにカテゴリに属する具体的な職業を紹介する、という流れになります。
だから、じっさいに紹介する職業の数は15個以上あります。
それでは、一種類づつ紹介していきます。
デジタルマーケティング専門家
新型コロナウイルスの流行で
「3密(さんみつ)」
という新しい言葉が生まれました。
この「3密」を避けるため、逆に密になった場所があります。
それは
「インターネット空間」
です。
これまでよりネット空間にいる人が増えたということは、ネット空間でのビジネスチャンスが拡大したことを意味します。
なので、企業はネット空間でのマーケティング活動を促進するため
「デジタルマーケティング専門家」
の採用を増やしています。
リンクトインの発表によると、具体的には
- デジタルマーケティング専門家
- ソーシャルメディア責任者
- デジタルマーケティング担当者
- SEOスペシャリスト
などの職種の採用が活発化し、結果として求人数は前年比で33%近く増えました。
デジタルコンテンツクリエイター
デジタルマーケティング専門家の求人が増えたのと同じような理由で
「デジタルコンテンツクリエイター」
の求人も増えています。
具体的には
- ライティングコンサルタント
- ポッドキャスター
- ブロガー
などですね。
要は、インターネット上で楽しめるコンテンツを制作する人たちの需要が増えたということです。
これらのようなコンテンツを作る仕事は、2019年と比べて49%も増えています。
UX専門家
ネット空間でたくさんの人が過ごすようになると、その空間に快適さが求められるようになります。
簡単に言えばWEBサイトやスマホアプリでも
- 使いやすさ
- わかりやすさ
- 居心地の良さ
などが求められるようになっているのです。
その結果として、利用者にとって快適なネット空間をデザインする能力を持った
「UX専門家」
の採用が増えています。
具体的には
- プロダクトデザインコンサルタント
- UXデザイナー
- UXリサーチャー
- UIデザイナー
などのようなデザインの専門家の求人が、2019年から2020年の間に20%増加しました。
IT・WEBエンジニア
新型コロナは働く企業経営者の意識を変えた、というアンケート結果があります[2]MONOist:50%がコロナ禍で「DX推進を加速した」と回答、日本企業のDX動向調査。
具体的に言うと、経営者たちはこれまでよりも
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」
に本気で取り組むようになりました。
その結果として求人数が増えたのは
「IT・WEBエンジニア」
です。
具体的には
- WEBサイト制作
- フルスタックエンジニア
- フロントエンドエンジニア
- ゲーム開発者
これらのプログラミング系の職業の求人は、2019年から2020年の間に25%近く増加しました。
データサイエンスの専門家
「データは新しい時代の石油だ」
という有名な言葉があるように、今はビジネスにデータを活用した企業の業績がどんどん伸びている時代です。
企業がDXの導入を進めていることも追い風になり
「データサイエンスの専門家」
の採用も増えています。
具体的には
- データサイエンティスト
- データサイエンススペシャリスト
- データマネジメントアナリスト
などの仕事の需要は2019年と比べて46%近く増えています。
AI(人工知能)の専門家
次は紹介するのは、日本でも数年前から求人が増えている
「AI(人工知能)の専門家」
です。
DXやデータサイエンスと関わりが深い仕事なので、ここまでの流れからAIに関わる仕事が増えるのは当然と言えます。
リンクトインによると、具体的には
- 機械学習エンジニア
- 機械学習リサーチャー
- AIスペシャリスト
などの仕事が2019年から2020年の間に32%増加しています。
看護師
新型コロナによって医療従事者は
「エッセンシャルワーカー」
として注目されました。
医療従事者者の中でも求人数が増えているのは
- 看護師
- 準看護助手
- 上級看護師
- ICUに特化した看護師
などを含む「看護師」です。
看護師の需要は、2020年に前年比でほぼ30%増加しました。
医療サポートスタッフ
看護師以外にも医療従事者をサポートするスタッフの求人が増えているようです。
具体的には
- 調剤技師・調剤助手・調剤補助員
- 歯科助手
- 在宅医療助手
などの仕事の求人が34%増加しています。
ネット通販等の物流の最前線で働く仕事
ネット通販を運営する会社にとって、新型コロナは追い風になりました。
Amazon、楽天なども売り上げを伸びし、その結果として
「ネット通販等の物流の最前線で働く仕事」
の需要は増えました。
具体的に言うと
- 宅配ドライバー
- 梱包担当者
- 買い物代行者
などの仕事の求人が前年比で73%も増加しています。
医療関係者と同じく、ここで挙げた仕事も「エッセンシャルワーカー」として注目されましたね。
メンタルヘルス専門家
「コロナ鬱(うつ)」という言葉が使われるくらい、新型コロナによって起きている
- ロックダウン
- 外出禁止
- 緊急事態宣言
などは世界中の人のメンタルヘルスに悪影響を与えています。
その結果として
- 行動療法士
- メンタルヘルス専門家
- 心理療法士
などのメンタルケアに関わる仕事の求人数が前年比で24%増えています。
日本でもcotree(コトリー)のようなネットを使ったカウンセリングサービスがかなり利用者数を伸ばしたようなので、メンタルヘルス系の仕事の需要は増えているかもしれません。
プロコーチ・パーソナルコーチ
人が何かを学ぶとき、客観的にアドバイスをしてくれるコーチがいた方が効率的に学んだりスキルを改善することができます。
アメリカではコーチはスポーツだけでなく、ビジネスの世界でも普及しています。
新型コロナによって自分の人生や内面について考えることが増えたせいなのか
- ライフコーチ
- ビジネスコーチ
- キャリアコーディネーター
- フィットネスコーチ
などのコーチングに関わる仕事の需要が2019年と比べると51%以上も増えました。
教育の専門家
教育業界も新型コロナによって大きな悪影響を受けた業界のなかの一つです。
生徒は守らなければならない。
だけど、生徒の将来のために教育を止めるわけにはいかない。
このような葛藤の末、オンライン授業を開始したり3密を避けながら授業を続けたりするなど、大変なことが多かったのが教育業界です。
結果として
- 小学校の教師
- 数学の家庭教師
- ティーチングアシスタント
- カリキュラム開発者
などの仕事が20%以上増加しました。
数学の家庭教師の需要が伸びているのは、AIやデータサイエンス系の仕事の需要が増えているのと関係がありそうですね。
「(将来の仕事に困らないように)数学ができるように育てたい」
このように考えている親御さんが世界中で増えているのかもしれません。
職場のダイバーシティ(多様性)専門家
新型コロナ禍の最中にアメリカで起きた、ジョージ・フロイドさんが死亡する事件[3]Wikipedia:ジョージ・フロイドの死をきっかけに
「ダイバーシティ(多様性)」
について話し合われる機会が増えています。
日本でもLGBTなど、ダイバーシティに関わる取り組みが増えてきているように感じます。
会社などの組織にとって多様性があることは良いことだ、という研究が浸透してきた結果なのかもしれません。
ダイバーシティについて詳しい人材を社内に抱えている会社は少なく
- ダイバーシティマネージャー
- ダイバーシティ担当役員
- ダイバーシティコーディネーター
などの仕事が、2019年以降90%以上増加しました。
経営や営業の専門家
新型コロナによって、働く人たちは仕事を「非対面」や「非接触(タッチレス)」で進めなくてはならなくなりました。
つまり、これまでとは異なる手法を取らなくはならなくなったのです。
その結果として
- 営業コンサルタント
- 営業アシスタント
- インバウンド営業の専門家
- 戦略アドバイザー
など、新しい営業の方法を開発したり促進する仕事の求人数が45%増加しました
住宅ローンや融資の専門家
新型コロナはたくさんの個人や会社に経済的な打撃を与えました。
その結果として、融資などに携わる仕事が増えているようです。
具体的には
- 融資の手続き担当者
- 住宅ローンの融資担当者
などの仕事が前年比で59%近く増えています。
新型コロナが流行してから需要が増えた仕事の傾向
ここまで紹介したデータから、全体の傾向を探っていきましょう。
リンクトインが発表した内容にはとてもわかりやすい傾向があります。
明らかに多いのは
などのような、ITやWEBに関わる仕事ですね。
全部で6種類が「ITやWEBに関わる仕事」に該当します。
次に多いのはエッセンシャルワーカーに該当する仕事です。
など、合計4種類が「エッセンシャルワーカー」に該当します。
エッセンシャルワーカーやテクノロジー系の仕事が増えるのは、2025年までの仕事の需要を予測した
などのレポートで語られていることと同じです。
さすがに2030年になるとどうなるかはわかりませんが、2025年くらいまで確実に需要が高くなるのは
- ITやWEBに関わる仕事
- エッセンシャルワーカーに該当する仕事
ということになりそうですね。
だから、高校生や大学生などはこれらのジャンルを狙って早めにスキル・知識をつけておくと就職等がかなり楽になるかもしれません。
社会人に関しては、デジタル系の知識・スキルの習得がおすすめです。
IT・WEB系の会社に転職する・しないは関係なく、デジタル系の知識を学べばかなり高い確率で仕事のパフォーマンスアップに貢献することでしょう。
引用・脚注
↑1 | LinkedIn:LinkedIn Jobs on the Rise: 15 opportunities that are in demand and hiring now |
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↑2 | MONOist:50%がコロナ禍で「DX推進を加速した」と回答、日本企業のDX動向調査 |
↑3 | Wikipedia:ジョージ・フロイドの死 |
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