パーソナルデータは近年になり「新しい時代の石油」と呼ばれるようになりました。
データを活用すれば経済活動が潤滑にまわることから
「データ駆動型経済」
という言葉も最近は出ているくらいです。
これらの言葉が登場する背景には、サービスの差別化が困難になっていることが挙げられます。
品物やサービス内容の差別化が難しいなら、消費者の趣味や嗜好にそってパーソナライズ(個別化)して顧客満足度を高めようと企業は考えています。
顧客に対して個別化されたモノやサービスを提供するためには顧客を分析するための情報「パーソナルデータ」が必要になります。
だから企業は個人の情報を収集することに力を入れるのです。
こんな状況ですので、消費者も自分の個人情報に注意する必要が出てきます。
つまり
- 企業などの法人
- 消費者などの個人
の両方にとってパーソナルデータの重要度が増しているということです。
この流れを受けて、未来にはパーソナルデータを専門的に扱う職業が増加するという予測があります。
現在にない、未来に登場するであろう新しい職業を予測するというのはとても困難ですが、誰もが興味を持つ話題です。
この記事では将来登場するであろう、専門家としてパーソナルデータを取り扱う職業を紹介します。
基本的には他のメディアで紹介された将来生まれる新しい職業予測の記事を参考にし、そこで紹介された職業に対しての情報を補足をしていく流れとなります。
近い将来や未来に生まれるであろうパーソナルデータを扱う職業
パーソナルデータは将来様々な分野での活用が期待されています。
ここで紹介される職業をみれば、パーソナルデータがどのような場所で取得されどのように活用していくかのイメージがつくと思います。
ただ、Googleの幹部に
「21世紀で最もセクシーな職業」
であると言われた
「データサイエンティスト」
については定義が曖昧であまりにも範囲が広すぎるので除外します。
それに、データサイエンティストはもうすでにある職業です。
もしデータサイエンティストになりたい場合はデータサイエンティスト養成コースがある
- 専門学校
- 大学・大学院
などの教育機関で学ぶのをおすすめします。
では、パーソナルデータに関わる職業を紹介していきます。
遺伝子データを病気の治療に活用する「ビッグデータ・ドクター」
ビッグデータ・ドクター(Big data doctor)はハフィントンポストの記事で2030年までに生まれる新しい職業として紹介されました[1]ハフィントンポスト:2030年までに生まれる新しい職業ってどんなもの? 共通点は「コンサルティング」。
記事の中ではビッグデータ・ドクターについて
患者の病歴や個人データに基づいて、治療を施す新世代の医師
と紹介されています。
ガンの治療をイメージするとわかりやすいのですが、ガン治療のために投薬する抗ガン剤は人によって効果が異なります。
なので、効果があるかどうかはじっさいに抗ガン剤治療を開始してみないとわかりません。
抗ガン剤には強い副作用があるので、これではリスクが高くて非効率的です。
命に関わることなのに、まるでギャンブルのような印象をうけます。
このような状況を改善し、高い確率で投薬効果を出すための遺伝子のデータ分析の研究が現在進められています。
あらかじめ遺伝子のデータを分析し、その人(遺伝子)にあった薬を選別して投与する方法です。
遺伝子データは取り扱いが難しいパーソナルデータですが、倫理的に正しいことだけに使えば医療の面でとても有用なデータとなります。
遺伝子データから治療方法を検討するビッグデータ・ドクターは将来かなり高い確率で登場しそうに思います。
パーソナルデータをお金に替える「個人データブローカー」
「個人データブローカー」
という職業がビジネスインサイダージャパンで紹介されています[2]ビジネスインサイダー:ロボットは仕事を奪うが、新たな仕事も生む —— 未来のちょっと変わった21の職業。
日本では「データブローカー」という言葉に良い印象を持つ人は少ないはずです。
個人情報を転売する名簿屋などのように思われているからです。
しかし、アメリカには巨大なデータブローカー市場や企業が存在しており、中には上場企業もあるくらいです。
ビジネスインサイダージャパンの記事ではデータブローカーは
個人データ・ブローカーの仕事は、新たに誕生するデータ取引所において顧客の個人データを監視、取り引きし、彼らが相応の収益を確保できるようにすることだ。
このような仕事をする職業だと定義されています。
書いてある「データ取引所」はについては、日本では「情報銀行」というサービスがあります。
ということは、データブローカーの仕事は個人が情報銀行を通して適切な利益を出すようにアドバイスすることだと考えられます。
それでも大手銀行などが情報銀行に取り組むことを表明しています。
なので、データブローカーは情報銀行に勤務し、個人に対して
などの業務を行う仕事、というのが最も近そうです。
銀行の営業窓口や資産アドバイザーなどの仕事とも似ていますね。
データを洞察する「データ調査官」
「データ調査官」という職業もビジネスインサイダージャパンで紹介されています。
データの専門家であるこの職業は、IoT機器やメッシュ、ニューラルネットワークなどから収集したデータを解析し、企業や組織にデータに基づいた洞察を提供する仕事だ。
データ調査官の仕事は日本で「データサイエンティスト」と呼ばれる仕事と最も似ているように思います。
つまり、データを解析し、組織や事業の問題を解決に導く仕事です。
正直なところ範囲が広すぎて職業として定義するのは難しいです。
もしデータを分析して様々な問題を解決する仕事なら、コンサルティング的な仕事として人気職業化するかもしれません。
ただその難易度は極めて高いことを認識しないと大変な目にあうことでしょう。
また、企業によって定義や仕事内容が異なるので事前にしっかり確認しておく必要があります。
信用スコアアップのセラピーをする「セラピスト」
ブラック・ミラーというイギリスの人気連続ドラマがあります。
ブラック・ミラーの
「ランク社会」
という回で他者から高く評価されるためのセラピーを行うセラピストが登場します。
ドラマの世界では、他者から高く評価されると信用スコアが高くなり、様々なサービスで優遇されます。
そのせいか、他者から自分を高く評価してもらうことに躍起になっている人々がドラマの中で描かれています。
他者から高く評価されると、SNSでのいいね!などのデータが増えます。
つまり、セラピストは高く評価される方法を患者に教えるのではなく、正確に表現すると他者から高く評価されるデータの集め方を教えているのです。
中国では「信用スコア」という、人の信用力を格付けするサービスがあります。
もし信用スコアが普及したらブラックミラーに出てくるセラピストのような職業は増加しそうですね。
引用・脚注
↑1 | ハフィントンポスト:2030年までに生まれる新しい職業ってどんなもの? 共通点は「コンサルティング」 |
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↑2 | ビジネスインサイダー:ロボットは仕事を奪うが、新たな仕事も生む —— 未来のちょっと変わった21の職業 |
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