宝くじを買う人はよく
「夢を買う」
という言葉を使います。
たしかに300円で買った1枚の紙が7億円になる、というのは夢があるストーリーです。
投資の世界でも「エンジェル投資」という大きなリターンが期待できる商品があります。
では「夢を買う」という観点では宝くじとエンジェル投資、どちらが優れているのでしょうか?
宝くじで100万円以上あたる確率は20万分の1
エンジェル投資と宝くじを比較するために、まずは宝くじはどれくらいの確率でいくら儲かるのかを見ましょう。
宝くじはたくさんありますが、1等の当選金額が最も大きい年末ジャンボ宝くじを取り上げます。
下の表は宝くじの
などをまとめたものです。
表にあるように、7億円が当たる確率は0.000005%です。
2000万人が宝くじを1枚づつ買ったら、1人が7億円を手に入れられる計算です。
だから、宝くじで1等が当たることはまずありません。
けど、もし1等が当たったら300円(宝くじ1枚の料金)が333,333倍になります。
300円が30万倍以上になるかもしれない、というは魅力的ですね。
年末の銀座の宝くじ売り場に行列ができるのも納得です。
ここで冷静になり宝くじのリターンについて考えましょう。
宝くじの「当たり」の原資(もととなるお金)は何でしょうか?
宝くじの当たりの原資は「宝くじを販売して得たお金」です。
つまり宝くじを買った人たちのお金を「当たり」として当選者に還元する仕組みです。
ただ、宝くじを販売して得たすべてのお金を当選者に還元する訳ではありません。
いろいろなお金を差し引いて、ぜんたいの46%くらいを「当たり」として還元するのです。
表にも入れましたが、300円の宝くじを買ったら平均すると46%の138円になって返ってくる計算ですね。
だから宝くじを買うと基本的には損をします。
宝くじを買うときは、使ったお金が半額以下になることを覚悟するべきです。
このように冷静に考えると魅力が急に色褪せてしまうのも事実です。
とはいえ「夢を買う」という観点からはどうでしょう。
2000万分の1の確率で300円が7億円になります。
想像するのが難しいくらい低い確率ですが、夢があると思いませんか?
なので宝くじで1等があたる確率は隕石にぶつかって死亡する確率よりも10倍以上高い計算になります。
エンジェル投資はどれくらいの確率で儲かるのか?
宝くじのことがわかったので、つぎはエンジェル投資の数字を調べます。
投資先がイグジットするとリターンを得られる
エンジェル投資という投資方法をあまりご存知でない方に向けて少しだけ基本的なことを説明します。
エンジェル投資は簡単にいえば上場していない会社への株式投資のことです。
とくに、未上場でなおかつ
- 会社の創業
- 事業の開始
などからそれほど時間が経っていない「スタートアップ」と呼ばれる会社への投資がエンジェル投資と呼ばれます。
ただ、きちんとした手法を使わないと詐欺に遭う可能性もあるので注意が必要です。
ふつうの会社員がエンジェル投資をするときは「株式型クラウドファンディング」と呼ばれるサービスを使うのが一般的ですし安全です。
日本だとFUNDINNO(ファンディーノ)やユニコーンというサービスが有名です。
エンジェル投資の場合、基本的に投資先が「イグジット」すると利益を得られます。
イグジットには
- 株式の上場
- 他の企業からの買収
などのパターンがあります。
つまりエンジェル投資をした会社が上場する、もしくは買収された時にエンジェル投資家はリターンを得られる仕組みです。
有名エンジェル投資家が出資した会社がイグジットする確率
エンジェル投資した会社がイグジットする確率はどれくらいでしょうか。
まずは日本を代表するエンジェル投資家のエンジェル投資成功率を見てみましょう。
STARTUP DBというサイトがエンジェル投資家の実績をまとめています。
EXIT実績からみる、注目のエンジェル投資家8名!
このサイトに掲載されている情報を引用・整理したのが下記の表です。
日本を代表するエンジェル投資家でもリターンを得られる確率はけっこう低いことがわかります。
平均すると13.6%、だいたい8件に1件の割合ですね。
だから普通のサラリーマンのエンジェル投資よりもイグジットの確率は傾向としては高くなるはずです。
株式型クラウドファンディングでのイグジット実績は?
つぎは会社員でも気軽にエンジェル投資ができる
「株式型クラウドファンディング」
でのエンジェル投資成功率をチェックしましょう。
IPOで稼ぐメカニックの株ログ
こちらのサイトが2020年10月時点での株式型クラウドファンディングのイグジット実績を調べてくれています。
データを引用すると、クラウドファンディングに成功した企業138社のうち、イグジットできたのは2件です。
成功率は1.4%ですね。<
ふつう、企業は株式を上場したり売却するくらいまで成長するのに最低でも数年はかかります。
だからクラウドファンディングに成功した会社のなかで、これからイグジットに成功する会社は増える可能性が高いです。
それでも、有名エンジェル投資家の実績を見ると10%を超えることは無いと思います。
個人が株式型クラウドファンディングでエンジェル投資してもイグジットする確率は高くて10%ほどになりそうですね。
だから株式型クラウドファンディングから出資できる会社はイグジットする確率が下がると考えるのが普通です。
イグジットしてもどれくらい儲かるかはわからない
ふつうの会社員などがエンジェル投資をした場合、イグジットする確率は高くても10%くらいではないかと推測ができました。
では、イグジットしたときどれくらい儲かるのでしょうか?
じつのところ、エンジェル投資した投資先がイグジットしてもどれくらいの利益が発生するかはわかりません。
これは企業の価値が業績や将来性、さらには景気動向によって常に変わるからです。
仮にイグジットしたとしてもエンジェル投資したタイミングよりも企業価値が下がっていた、ということもあり得ます。
つまりイグジットしても損することもあるのです。
ほんらいエンジェル投資はハイリスク・ハイリターンの金融商品です。
大損することもあればボロ儲けすることもあります。
もしあなたが「未来のGoogle」にエンジェル投資できたらその投資はとんでもない金額になって返ってきます。
じっさいあのGoogleもエンジェル投資家から10万ドル(約1,040万円)のエンジェル投資を受けています。
そして、約1040万円のエンジェル投資は300億円ほどになって返ってきたと言われています[3]エンジェル投資総研:エンジェル投資 リターンを得る方法。
Googleは世界トップクラスの時価総額を誇る超優良企業です。
そんなGoogleへのエンジェル投資でもリターンは3,000倍だとしたら、どんなに良いエンジェル投資ができてもリターンは3,000倍くらいが限界かもしれません。
さきほども紹介した
IPOで稼ぐメカニックの株ログ
こちらのサイトによると、株式型クラウドファンディングでイグジットした2件は共に1.5倍のリターンだそうです。
これらの情報から推測すると、良くて数倍〜10倍のリターンというのが現実的でしょう。
「夢を買う」なら宝くじ、確実性ならエンジェル投資
ここまで集めたデータを整理します。
まずは宝くじのデータです。
このように、宝くじは当選確率がとても低いです。
なおかつ基本的には購入した額が半分以下になります。
それでも最大で333,333倍のリターンが期待できるので、ローリスクで超ハイリターンが期待できます。
次はエンジェル投資です。
プロのエンジェル投資家の投資実績をふたたび見てみましょう。
イグジットする確率は宝くじと比べたらずっと高いです。
しかしこれらはプロの実績です。
サラリーマンなどのアマチュアが株式型クラウドファンディングなどを使うと、イグジットできる確率はおそらく下がります。
それでも数%〜10%くらいの確率でイグジットが発生するものと思われます。
けれど、最大でも3000倍くらいのリターンなので宝くじのように人生が変わるくらい大儲けする確率はとても低いです。
これらの数字をまとめると、個人の考え方にもよりますが「夢を買う」なら
ということになりそうです。
ただ、どちらも大半がハズレなのは同じです。
くれぐれも「人生を変えよう」などと思わず、余裕のある資金で購入・投資することをおすすめします。
引用・脚注
↑1 | 「ファンディーノ」というサービスを運営する株式会社日本クラウドキャピタルのプレスリリースによると、エンジェル投資用の口座を開設する人が急増しています。 |
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↑2 | Nikkei National Geographic:宝くじより高い? 隕石に当たって死亡する確率 |
↑3 | エンジェル投資総研:エンジェル投資 リターンを得る方法 |
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