ウーバーイーツの配達員は、会社に雇われている会社員やアルバイトではありません。
そのひと個人の意思で働く個人事業主です。
個人事業主はフリーランスとも呼ばれるように、比較的自由度が高い働き方でもあります。
ウーバーイーツの配達員も、その自由な働き方が魅力的、とよく言われています。
けれど、さいきんになって
「ウーバーイーツが普及するにつれて配達員の自由度は減っていくのではないか?」
と思わせるような事例が増えてきました。
自由を求めてウーバーイーツで働いている、もしくは働きたい、という方はぜひこの記事を読んでください。
ウーバーイーツの配達員が自由なのはその働き方であって、べつに仕事自体が自由な訳ではない、ということがわかるはずです。
配達員の信頼性や交通マナーの悪さに不安を感じる人は多い
下のグラフは検索エンジンのグーグルで
「ウーバーイーツ」
と検索した人の推移です。
2017年あたりと比べると、かなりたくさんの人がウーバーイーツについて検索していることがわかります。
調査会社が2020年の11月に実施したアンケート[1]三菱UFJリサーチ&コンサルティング:フードデリバリーサービスの動向整理によると、20歳〜69歳の男女1,100人のうち約6割が
「フードデリバリーを利用したことがある」
と回答しています。
これらのデータからわかるように、ウーバーイーツをはじめとしたフードデリバリーを利用する人はどんどん増えています。
しかし、おなじアンケートに
「フードデリバリーを利用する時に心配だったり不便なこと」
についての質問があり、この質問では
- 配達員に対する信頼性
- 交通マナーが悪い
これらが上位に食い込んでいます。
ウーバーイーツのようなフードデリバリーは便利だけど、配達員については不安や不満があることがわかりますね。
配達員が起こした不祥事・炎上騒ぎによって批判の声も多い
ウーバーイーツの配達員の仕事内容は
- レストランで食事を受け取る
- 注文した人の食事を届ける
おもにこの二つです。
仕事内容はシンプルで、宅配業者などと比べても仕事内容にそこまで違いはありません。
なのに、なぜアンケート結果では配達員への不安や不満がランクインしたのでしょうか。
理由として考えられるのは配達員がおこした不祥事・炎上騒ぎです。
不祥事がSNSなどで炎上・拡散し、配達員にたいするイメージが悪くなっているのです。
じっさいどんな不祥事が起きているのか、事例をいくつか紹介します。
自転車による危険な走行
ウーバーイーツといえば、配達員が背中に抱えている緑色のバッグが有名です。
あのバッグを見れば、ウーバーイーツを知っている人は
「あれはウーバーイーツの配達員だな」
と認識できます。
あのバッグは特徴的なので、もしウーバーイーツの配達員が危険なことをしていたらとても目立ってしまいます。
そんなウーバーイーツの配達員が
「自転車で高速道路に侵入する」
というニュースを割とひんぱんに見かけます。


このような、交通ルールを守らない人が多いと、ウーバーイーツの配達員に対して良くない印象をもつ人がどんどん増えることになります。
配達員による交通事故・死亡事故
ウーバーイーツの配達員として働く人は数万人から十数万人いると言われています。
これぐらいたくさんの配達員が食事を宅配していれば、事故などが起きるのはとうぜんです。
それでも
「ウーバーイーツの配達員が交通事故!」
というのはニュースにしやすいらしく、さまざまなニュースで配達員の交通事故や死亡事故が取り上げられています。



配達員が訴えられる訴訟も起きている
ウーバーイーツの配達員が起こした交通事故が訴訟に発展しているケースもあります。
ニュース記事の内容を引用します。
配達員はウーバー社と雇用関係のない「個人事業主」と位置づけられているが、女性側は同社にも使用者としての賠償責任があると主張。同社と配達員は争う姿勢を示している。
冒頭でも説明しましたが、ウーバーイーツの配達員は個人事業主です。
だから配達員が交通事故を起こしたとしても、ほんらいすべて自己責任です。
しかし、この訴訟では配達員だけでなく日本でウーバーイーツを運営するUber Japan株式会社も訴えられています。

他にも起きている様々な事件・トラブル
ここまで紹介したもの以外にも、ウーバーイーツの配達員は様々なトラブルを起こしています。
たくさんの配達員がいればトラブルが起きるのは当たり前です。
それでも、ウーバーイーツ絡みで何か起きたら以下のような報道がされることになります。


そしてこれらの報道はSNSなどを通して拡散し、配達員への印象はどんどん悪くなっていきます。
ウーバーイーツ配達員による事故やトラブルを予防するための動き
ここまで紹介したように、ウーバーイーツの配達員による事故はよくメディアで取り上げられます。
何度も言いますが、ウーバーイーツの配達員は数万人から十数万人いると言われています。
これだけの数の配達員が仕事をしていれば、交通事故等が起きるのは当たり前のことです。
じっさい、2021年4月だけでも全国で約25,000件の交通事故が起きています[2]e-stat:道路の交通に関する統計。
この社会で、交通事故はとくに珍しいことではありません。
むしろ日常茶飯事です。
しかし、ウーバーイーツの配達員は
- 目新しい仕事
- 若い世代から人気のある仕事
ということで、交通事故やトラブルが起きたときメディアが取り上げやすいのです。
ユーチューバーとかと同じですね。
だから何か起きた時はとにかく目立ち、話題にされます。
その結果、たくさんの批判を受けることになります。
もし批判が増えていけば、運営会社はもちろんのこと、行政側も法律や条例の改正等で対策をとる可能性があります。
じっさい、世の中からの批判を減らすため、配達員による
- 事故
- トラブル
などを予防するための動きが出てきています。
どんな動きがあるのか、いくつか紹介していきます。
配達員のための交通安全講習が開催
ウーバーイーツの配達員は若い人が多いです。
若いだけでなく、バイクや自動車の免許を持っておらず交通ルールにくわしくない人も多いです。
そんな配達員のために、警察などが交通ルールを指導する講習会を開いています。



Uber Japanが「お客様相談室」を開設
日本でのウーバーイーツを運営するUber Japan株式会社は
- 食事を注文した利用者
- 利用者以外の一般の人
などから報告・相談等を受け付けるための
「お客様相談室」
を2020年11月に開設しました。
Uber Japanにお客様相談室を開設した意図を尋ねたFNNの記事があります。
――「お客さま相談室」では新しくどんなことができる?
配達パートナーの危険な運転に関するお問い合わせや、不適切な行動などをご報告いただいた場合、お客様からいただく情報に基づいてUber内で該当配達パートナーを特定し、注意喚起や適切なアドバイスを行うサポートも取り入れております。
どうやら、お客様相談室を通せば食事を注文した人以外でもウーバーイーツの配達員についてのクレーム等を相談できるようです。
たとえば禁煙区域などで配達員が喫煙していた場合、現場を目撃した人がお客様相談室に連絡する、なんてこともありえます。
緑色のバッグにナンバープレートをつけてはどうか?という案も
2021年の3月。
東京都の都議会で、ウーバーイーツの配達員にたいして以下のような提案がありました。
問題は危険走行を見つけても、(自転車は)車両と違ってナンバーがないため、通報もできないというようなことであります。
例えば配達バッグなどにナンバーを付けるように促すべきと。
この提案にたいして、都民安全推進本部長の国枝治男さんは以下のように答えています。
配達バックへの番号表示など識別性を向上させる取り組みは、有効な一つの手段であると認識しております。
イメージとしては、ウーバーイーツの配達員が持っている緑のバッグに車のナンバープレートのようなものが付く、という感じでしょうか。
たしかに、このような配達員を個別で識別するような仕組みがあれば、ごく一部の配達員による
- 信号無視
- イヤホン使用
- 傘差し運転
などは予防できそうです。
配達員側はみんなから監視されているようで辛いでしょうか・・・。
自由を求めてウーバーイーツの配達員をするのはオススメできない
もしウーバーイーツの配達員のバッグにバックナンバーが着いたらどうなるでしょう。
個人的には、ごくごく軽い交通違反や条例違反でも、お客様相談室に通報される配達員が続出すると思います。
こんなことになったら、配達員は仕事がしづらくなります。
もしバックにバックナンバーがついたら、配達員の仕事の自由度は減ります。
しかし、このような規制は仕方のない部分もあります。
というのも、新型コロナの影響でウーバーイーツの配達員は今げんざいの社会に必要な仕事になりつつあるからです。
いま道路を走っている車にはかならずナンバープレートが付いています。
しかし、車が普及する前はナンバープレートは不要でした[3]GAZOO:国内初は1907年!ナンバープレートの歴史をたどる。
車の車検も同じで、今のように普及する前は車検は不要でした[4]オートパル上伊那:安全にはかかせない!車検制度のはじまりと歴史。
社会の安全を守るため、車のナンバープレートや車検という仕組みができたのです。
皮肉なことですが、この社会にウーバーイーツの配達員が普及すればするほど、安全を守るため
- 緑のバッグにバックナンバーをつけよう
- 配達員の服に名札をつけてもらおう
- 配達員の服のユニフォームを着てらもらう
などの規制が増えていく可能性が高いです。
なので、もし自由を求めてウーバーイーツの配達員として働きたいなら、それはおすすめできません。
引用・脚注
↑1 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング:フードデリバリーサービスの動向整理 |
---|---|
↑2 | e-stat:道路の交通に関する統計 |
↑3 | GAZOO:国内初は1907年!ナンバープレートの歴史をたどる |
↑4 | オートパル上伊那:安全にはかかせない!車検制度のはじまりと歴史 |
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