新卒で入社した会社を短い在籍期間で辞めることには色々なリスクがあります。
リスクを避けるためにも、面接などで離職率について聞くタイミングがあったら聞くべきです。
この記事では、3年以内で会社を辞めることにはどんなリスクがあるかをデータをつかって説明します。
離職率が気になるのは「当たり前」
応募する会社の離職率が気になる、ということは
「人がすぐに辞めるような会社では働きたくない!」
と考えているのだと思います。
たしかに離職率が高い会社には色々な問題があって働きにくそうですよね
問題がある会社に入社したら、ひどい目にあうのはあなたです。
入社したい会社の離職率が気になるのは当然のことです。
けど、知っておいて欲しいことがあります。
新卒で会社に入っても、2〜3年以内に辞めるのは珍しいことではないのです。
大卒でも3年以内に30%以上が辞める?
厚生労働省が新社会人になった人の離職率を調べています[1]厚生労働省:新規学卒者の離職状況。
調査によると、2018年に大卒で入社した人のうち3年以内に離職した人の割合は「32.8%」。
あなたにもし100人の同期がいたら、3年以内に33人が辞める計算になります。
これは別に
「さいきんの若者は我慢ができなくなった」
という話ではありません。
データによると、今も昔も入社してから3年以内に離職する人の割合(3年以内に離職率)はだいたい30%を超えます。
「石の上にも三年」
という言葉がありますよね。
なぜか日本では3年以内に仕事を辞めることに悪いイメージがあります。
けれど、いつの時代も3年以内に3割くらいの人は辞めるものです。
それに、日本では職業選択の自由が認められています。
仕事を変えるために転職することはべつに悪いことではありません。
これは1991年から1993年にかけて起きた「バブル崩壊」の影響です。
不景気になると離職率の低下するのですね。
3年以内に仕事を辞めることのリスク
入社して2・3年で辞めることは普通のことだと説明しました。
だからといって
「みんな辞めてるなら離職率が高い会社に入ってもまあいっか」
ということではありません。
3年以内に離職すると、つぎの転職に悪影響があるからです。
具体的に言うと、正社員として転職できる確率が下がります[2]独立行政法人 労働政策研究・研修機構:若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状。
在籍期間ごとの正社員への転職成功率は下の表でまとめています。
もちろん非正規社員よりも正社員の方が優れている、なんてことはありません。
しかし、正社員のほうが不景気のときに安定して働くことができます[3]派遣や契約社員だと、不景気や業績悪化を理由に契約を切られることがあります。。
男性だけとはえ、早いタイミングで離職するとこのようなリスクがあるのです。
これは結婚・出産などによる影響によるもので、早く辞めたほうが次も転職しやすいということではないと思います。
リスクを避けるためにも聞いた方が安心
ここまで紹介したのはあくまでもデータです。
あなたが就職して、3年以内に辞める確率が3割という訳ではありません。
どんな職場でも向き不向きがあり、人が転職を決意するのには色々な理由があります。
アデコグループが入社してから3年以内に退社した人たちにアンケートをとっています[4]Adecco Group:新卒入社3年以内離職の理由に関する調査。
このアンケートによると、退職理由としては
などが上位に挙げられています。
退職した理由の上位にこれらが入ったということは、離職率が高い会社にはこのような問題があるのでは?と考えることができます。
夢や希望をもって会社に入っても、このようなコトが待っていたら誰でも辛くなります。
だから良いタイミングや機会を見つけ、会社の離職率は確認するべきです。
そして、理由が無ければ離職率が高い会社への入社は避けた方が良いです。
離職率を質問するまえにデータをチェック
離職率を尋ねるときは注意してもらいたいことがあります。
それは勤務先の
- 業界
- 従業員数
などによって3年以内の離職率はかなり差がある、ということです。
びっくりするくらい違いがあるのです。
だから
「この会社は3年以内離職率が40%もある!やばい!」
なんていう風に、単純な数字だけで判断すべきではありません。
3年以内離職率が高い業界はどこ?
離職率が高いのはどんな業界でしょうか?
厚生労働省の調査によると「宿泊業、飲食サービス業」が最も3年以内離職率が高く、52.6%です。
宿泊業や飲食サービス業は急な出勤や深夜の仕事があったりして、ワークライフバランスが崩れやすいのが原因かもしれませんね。
3年以内離職率が低い業界はどこ?
逆に離職率が低いのはどの業界でしょうか?
3年以内離職率が11.4%と、もっとも低かったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」です。
たしかに、このような人の暮らしに密接に関わる業界は大企業が多く、安定して働けそうですよね。
残業も少なそうなイメージがあります。
規模が小さい会社ほど離職率は高くなる
こちらも厚生労働省のデータによると、会社の従業員数が少なければ少ないほど3年以内の離職率が高くなります。
従業員5人未満の会社は1000人以上の会社を比べると、離職率が倍以上になっています。
大きな会社のほうが離職率が低くなる理由としては
などが考えられます。
離職率を見ると、働きやすさには関しては大企業の方が優れていそうですね。
業界や従業員数の割に離職率が高い会社は注意
このように
- 業界
- 従業員数
によって3年以内の離職率には差があります。
もし入社を希望する会社の3年以内離職率を確認できたら
厚生労働省のページ
を開いてください。
そして、希望する会社の業界と従業員数を照らし合わせて離職率が平均的かを確認しましょう。
もし離職率が平均よりも高いなら、その会社にはたくさんの人が辞める理由があるのかもしれません。
すべて会社側に問題があるとは限りませんが、人が辞めている理由や会社の口コミを調べたりするべきです。
離職率を確認するのは自分自身のため
仕事選びはとても大事です。
おおげさではなく、仕事選びで人生がかなり変わるからです。
よい仕事を選ぶためにも、気になることがあったら聞いたり調べたりするべきです。
コーネル大学のカール・ピルマー准教授は、アメリカにいる65歳以上の高齢者を1,000人以上集めて
「これまでの人生で最大の後悔はなんですか?」
と尋ねました。
すると、キャリア選択、つまり仕事について後悔していると答える人がたくさんいました[6]Amazon:30 Lessons for Living: Tried and True Advice from the Wisest Americans。
面接などで離職率を聞くのは気まづいかもしれません、とても大事なことです。
後悔しないよう、離職率についてしっかり確認してください。
引用・脚注
↑1 | 厚生労働省:新規学卒者の離職状況 |
---|---|
↑2 | 独立行政法人 労働政策研究・研修機構:若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状 |
↑3 | 派遣や契約社員だと、不景気や業績悪化を理由に契約を切られることがあります。 |
↑4 | Adecco Group:新卒入社3年以内離職の理由に関する調査 |
↑5 | 就業構造基本調査によると、男性はサービス業が未婚率が高く、女性は専門的な技術が必要な仕事をしている人が未婚率が高いです。 |
↑6 | Amazon:30 Lessons for Living: Tried and True Advice from the Wisest Americans |
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