SHaiN(シャイン)によるAI面接の評価方法と分析に使うデータ

株式会社タレントアンドアセスメントによるAI面接サービスの
SHaiN(シャイン)
がよくニュースで取り上げられています。
導入企業も増えているようで、すでにAI(人工知能)による面接を受けた学生さんなども多いのではないかと思います。

面接とは難しいものです。
いくら良い手応えがあっても、じっさいには落ちていたりすることが当たり前のように起きます。
このあたり、人ではなくAIによる面接だと変化はあるのでしょうか。
結論を言ってしまうと、人による面接と同じくAIによる面接でも本人の手応えと関係なく、落ちるときは簡単に落ちます。

しかし、人による面接とAIによる面接を比べると

  • 人よりも客観的に判断してもらえる
  • 人ではないので、その日の気分・体調・に左右されずに判断してもらえる
  • 直感ではなく応募者から収集したデータによって判断してもらえる

などのメリットがあります。

サイト管理人 南研吾
サイト管理人 南研吾
とはいっても参考となる教師データの傾向によってAIによる審査基準も影響を受けます。

この記事ではSHaiN(シャイン)のAI面接において

  • どのような方法で応募者は評価されるのか
  • どのようなデータをAIは分析・評価しているのかの推測

などをまとめます。

AI面接による評価の方法

SHaiN(シャイン)公式サイトによると、AI面接はPepperのようなロボットまたはスマートフォンによる60〜90分にわたる

  • 質問
  • 観察

によって、応募者の資質を評価します。
質問の量も多く、最大で280問にもなります[1]日経新聞にて確認しました。

そして、資質は評価レポートという形式で企業側が確認できます[2]評価レポートの文章はスタッフが作成しているようです。株式会社タレントアンドアセスメント代表取締役の山﨑俊明さんのTwitterより。
面接評価レポートのサンプルはこちら
サンプルを見るとわかるように、個人への評価が

  • 項目ごとの数値
  • 項目ごとの文章

で表現されています。

評価には「質問」と「観察」という大項目があり、さらに細かい項目ごとで評価されていますので、どのような項目で評価されるかを一覧にしたいと思います。
どのような項目で評価されるかも公式サイトには掲載されています。
しかし、どのようなアルゴリズムによって項目ごとの評価を算出しているかは公開されていません。
このあたりは個々で推測するしかありませんし、もし一時的に把握できたとしてもAIなので更新されればまた推測するしかありません。
ちなみに採用の合否はAIが決めるのではなく、AI面接に内容や評価レポートをもとに各企業の担当者が決定します。

SHaiN(シャイン)公式サイト

質問によって評価される項目

質問によって評価される項目をまとめます。
大きな項目は7つありますが、それぞれの項目内にどんな要素があるかも記載します[3]SHaiN公式サイトから確認できます。

  • バイタリティー(粘り強さ・責任性・エネルギッシュ・打たれ強さ)
  • イニシアチブ(上昇志向・前向き・知的好奇心・自発性・創意工夫)
  • 対人影響力(ビジョン・動機付け・巻き込み・主体的指揮)
  • 柔軟性(状況理解・フレキシブル・自在性・適応性)
  • 感受性(気持ちへの敏感性・共感性・気配り・気遣い・チームワーク)
  • 自主独立性(信念的・度胸・自己主張・自律的)
  • 計画力(段取り・タイムマネジメント・PDCA・明確な目標・優先順位)

AIからの質問への回答は口頭による言葉によっておこなわれます。
ということは言葉の内容でこれら沢山の要素を判断・評価される、ということになります。
つまりAI時代になっても自分の資質を表現するには口頭や文章による言葉に頼ることになる、ということです。
なので日本語の表現力を高めておいて損をすることはなさそうです。

観察によって評価される項目

観察によって評価される項目と要素をまとめます。

  • インパクト(好感度・明るさ・清潔感)
  • 理解力(頭の回転・正確性・迅速性)
  • 表現力(伝達力・明瞭性・正確性・簡潔性)
  • ストレス耐性(落ち着き・平常心・克服力)

質問と観察による評価ですが、ひとつひとつを見ると人間の面接官がチェックしている部分とそれほど変わらないことがわかりますね。
よって外見・みだしなみを整え、相手の質問をよく理解して相手の質問意図に沿った回答をすることが基本となります。

どのようなデータをAIは分析・評価しているのかの推測

評価する内容を理解したところで、どんなデータをAI(人工知能)が分析・評価しているのかを考えます。
AI面接で人工知能がしていることは
「情報の処理と分析」
です。
つまりデータ(情報)の処理と分析です。

SHaiNの場合は

  • 質問と観察データを面接希望者から受け取り
  • データを元に評価を作成する

ということですね。

評価の方法は公開していても、評価にどんなデータを使うかと、データを分析するアルゴリズムは当然のことながら非公開です。
分析アルゴリズムはAIを開発している当事者しかわかりませんし、時には開発者ですらわからないときもあります。
よってアルゴリズムに関しては推測するだけ無駄だったりもします。
なのでここでは評価にあたって使っているであろうデータを推測したいと思います。

データその1. 質問の回答内容

これは明確です。
SHaiNは質問への回答、つまり質問に対して返した言葉の内容を評価の判断材料に使っています。
AIからの質問へ回答するときに注意したいのは

  • 言葉は明瞭に発音する
  • 主語述語を明確にする
  • 論理的な内容を話す

などでしょうか。

AIによる言語認識は日進月歩です。
それでも不明確な発音で音声を認識できなければ質問しなおしたりするかもしれませんので、できるだけ明瞭な発音で日本語の正しい文法にそって回答してください。
最新の若者言葉などは使わない方が安全です。
あまりにも新しすぎる言葉は人工知能がデータとして認識できない可能性があるからです。
またAIは矛盾した内容を嫌うはずなので、総合的に論理が破綻しないよう、話す内容には注意した方が良いと思います。

データその2. 質問の回答に使う間や回答の時間

おそらくですが

  • 質問に回答するまでの間
  • 話す時間

などもデータとして利用していると思います。
質問に対しての回答は早ければいい、というものではなく、人間同士のコミュニケーションとしてより適切な間を持つことが重要視されそうです。

データその3. 会話の抑揚

会話をしている時の発声の抑揚には様々な感情がこめられています。
抑揚をデータとして人工知能が分析すると話し手の本音がわかるという説や研究がたくさんあります。
抑揚の変化によって

  • 緊張
  • 動揺

などの感情の変化に関係するデータも取れると思うので、そこから虚偽の回答などが判断できるのかもしれません。

データその4. 表情の変化

SHaiNには動画を分析する機能もついています。
なので、面接の最中の細かい表現の変化もデータとして取得することができます。
会話の抑揚とおなじく、人の表情をデータとして解析すると感情の変化を読み取ることができます。
一時期かなり問題になった圧迫面接のようなことをしなくても、こまかい表情の変化からストレス耐性などはわかるはずです。

データその5. 髪型や服装

表情と同じことですが、髪型や服装もデータになります。
髪型や服装にはパターンというか傾向があるので、その人の人格を判断するのに使われそうです。
対人の面接と同じく、清潔でない服装や髪型は評価が下がるはずです。

AIからの評価を高める簡単な方法はない

ここまで評価方法や分析にもちいるデータについて説明しました。

特にデータについては推測の域を出ませんし、じっさいは異なる可能性が高いです。
しかし、まとめると全体として就職希望者ができることはAI面接だろうと人による面接だろうと変わりません。
自分の特徴や能力を言葉・表情・態度などの情報にして、人材を採用したい企業側に適切に伝えるだけです。

さらにいえば人工知能は相手のデータ(情報)を分析すると説明しましたが、目の前の人(面接希望者)の情報を分析して評価するのは人の面接官でもしていることです。
なので、対策としてできることは

  • 企業が求める能力や経験を身につける
  • 企業が求める社会人としてのマナーやふるまいを身につける
  • 企業が期待するであろう人格に近づけるように自己を研鑽する

などです。
つまり結局のところライフハック的に人工知能をつかったAI面接を攻略する方法はないということです。

入社を希望する企業の情報を入念に調べ、努力したり推測を加えながら相手が求める理想像に近づく、というのがおそらく最も確実で報われやすい方法なのだと思います。
これは面接官がAIだろうと人間だろうと同じことです。

引用・脚注

引用・脚注
1 日経新聞にて確認しました。
2 評価レポートの文章はスタッフが作成しているようです。株式会社タレントアンドアセスメント代表取締役の山﨑俊明さんのTwitterより。
3 SHaiN公式サイトから確認できます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました